「うだつが上がらない 」 の由来

私は自分の中で消化していない言葉を使うことはあまりしたくありません。
そういった活用法では、あとで辻褄が合わなくなったり、誤用したことで恥をかいたりと、タダでさえ苦手な国語でこれ以上恥をかきたくないからであります。
といいましてもこのように文章を書いている現実があり、大変拙い文章で申し訳ありませんが今日もお付き合いください。

今日はそんな自分の中で消化しきれていない「うだつがあがらない」を取り上げてみます。
地位・生活などがよくならないとか、ぱっとしない様を言います。
まさに今の私の状況を示しており、耳が痛い話題ですが続けさせていただきます。
上がらないのは分かりますが、では「うだつ」とは何でしょうか?

「うだつ」は平安時代は「うだち」といっていましたが、室町時代以降は「うだつ」と訛って変化したと言われています。
「うだつ」は現在は梲と書きますが、室町以降は卯建・宇立などの字が当てられたようです。
その由来を調べてみるといくつかあるようで、最有力なものとしては、柱の上にある屋根を支えるための梁(横木)と、屋根の骨組みの一番高いところに使う木材である棟木の間に立てる部材の名前からきているというものです。
これを「うだつ(別名小屋束)」といい、いつも屋根に押さえつけられている姿を人の境遇に見立てたと考えられます。

また、このうだつも立てられない、またはうだつすらもないような家の境遇を指して金銭に恵まれない様を言うようになったという説も有力視されているようです。
更にそこから発展して、家を建て棟上げすることを大工言葉で「うだつがあがる」といい、それが転じて志を得るという意味になったという説もあります。

他にも、堀井戸の石積みの最下部に置く木枠を「うだつ」といい、その様から年中下積みとなって上には上がれない境遇を言ったことからという説、隣の家との境につける装飾的な防火壁を「うだち」と呼ぶ地域も有り、それを付けるにはお金がかかるため、うだつは裕福であり、成功の証しと見られたことからとする説もあるようです。

なぜ今回「うだつ」を取り上げたかというと、実際に「うだつ」を見てきたからです。
長野県の海野宿という場所です。
650メートルの昔ながらの街並みが残っており、その所々に立派な「うだつ」を見ることができます。
やはり「うだつ」は、梁の上に立てる小さい柱のことをいったようですが、後に隣家との間についた小さい防火壁で張り出すように設けられたものも「うだつ」と呼ぶようになったとの説明がありました。
防火壁の説も実際にあるようですね。
昔は隣との境が今とも接していたため火事が置きやすかったのでしょう。
隣に水路もありました。
また、その防火壁が江戸時代中期頃になると装飾的な意味に重きが置かれるようになったそうで、
財力を誇示するための手段として、商家の屋根上には競って立派な「うだつ」が上げられるようになったと言います。
そこから、「うだつ」が上がっている家は比較的裕福な家と見られるようになったといった解釈は十分成り立つのです。

本当に天高くといった感じに、無駄に?豪華に飾られていました。(いい意味で)
堀井戸の石積みの最下部に置く木枠説については確認できませんでしたが、いくつかの説がどれも可能性が高いというケースは今までそうそうなかった気がします。
漢字の変化からも、時代とともにその意味が変わっていったということも十分に考えられます。
いつの時代も人より多く、人より高くといった意識は変わらないのかもしれません。
でも人と比べることが本当に正しいことなのでしょうか。
みんながベンツに乗っていたらあなたも乗りたいですか?
みんなが高級マンションに住んでいたらあなたもそこがいいですか?
そんなことを言っていたら、私は一生「うだつがあがらない」のでしょうが、それが化粧に近いものならやっぱり上げる必要も無いと考えてしまいます。


会社でパッとしない人の「うだつ」の上げ方


この一冊で「ことわざ」「慣用句」「四字熟語」が面白いほど身につく!





著者: tossie
居住地域:北関東 年齢:70年代生まれ 趣味:釣り、散策 言葉の由来を調べています。言語学者とか研究家ではありません。 ただの一般人です。記事は仕事の合間に書いてます。 プロフィール詳細 Twitterでフォロー

一言コメントする

メールアドレスは公開されません。

You may use these HTML tags and attributes: <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <s> <strike> <strong>

CAPTCHA


日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)