「アスファルト」 の由来

舗装という技術はたいしたものだと思います。
石ほどの強度はなく、コンクリートより柔軟性がある。
我々が何気なく車を運転して何の違和感もなくドライブや仕事に出かけられるのは道路の舗装のおかげです。
たまに河川敷などで舗装されていない道路に出会うとそのことをつくづく感じます。

草は生え放題で、少し凹んだ場所には水溜り、舗装道路に出るとタイヤにまとわり付いた泥が払いのけられて巻き上がり車もよげれる。
通常走るスピードでの走行は困難で、凹凸を見極めながら細かく何度もブレーキを踏むのでおそらくガソリンもくうことでしょう。
今日はそんな縁の下の力持ち、舗装の主役アスファルトについて。

■アスファルトとは

アスファルトは英語ではasphaltと書き、日本語では土瀝青(どれきせい)と言うのだそうです。
原油に含まれる炭化水素類の中で最も重質のものがそれ。
減圧蒸留装置で作られた減圧残油はそのまま製品アスファルトとなり、ストレート・アスファルトと呼ばれるそうです。
その由来はギリシア語からで、a( しない 否定形)とsphalt(落ちる・ダレる)という意味からきているとか。
つまり「落ちない」とか「ダレない」といった意味となります。
道路舗装や屋根防水や接着に利用されているということからも納得の由来ですね。
加熱状態ですと流動的な液体ですが、常温になるとほとんど固化するという性質も現在の用途に適しているようです。

天然のアスファルトは瀝青 (ビチューメン)と呼ばれるそうでその歴史は古く古代から使用されていたようです。
当時は接着剤として用いられていたようで、旧約聖書の「創世記」では、あのバベルの塔の建設にアスファルトが使われていたとの記述があると聞くと驚きです。
英語においてもギリシア語のασφαλτοσ(asphaltos)が用いられているというのはこういった歴史が深く関係しているようです。

日本においてもその歴史は深く、驚いたことに縄文時代後期後半から晩期にかけて見られたといいます。
産出した天然アスファルトを熱して石の矢じりや骨のモリなど漁具の接着や、破損した土器や土偶の補修、漆器の下塗りなどに利用されていたとのこと。
それから時間は大分たちますが、日本で初めてアスファルト舗装が施されたのは長崎県長崎市のグラバー園内の歩道なのだそう。
やはりその発想(道としてひく)は海外から取り入れられたようですね。
それが本土へと広がっていき現在に至ります。

文系の私にはよく理解できないのですが、アスファルトは道路舗装材以外でも大変な優れもののようです。
建物の防水剤に和式便器(和風便器)埋め込み部の緩衝材、工業用アスファルトとしても電気製品の制振シートの原料や防湿剤、鋼管・鉄筋などの防錆材としても使われています。
縁の下の力持ちは、社会を支える力持ちだったという事実は大変勉強になりました。


アスファルト舗装工事共通仕様書解説


景観法と土木の仕事 (土木学会誌叢書)





著者: tossie
居住地域:北関東 年齢:70年代生まれ 趣味:釣り、散策 言葉の由来を調べています。言語学者とか研究家ではありません。 ただの一般人です。記事は仕事の合間に書いてます。 プロフィール詳細 Twitterでフォロー

1コメント

  1. ゆるぽよ - 2019年12月11日, 7:39 AM Reply

    わかりやすく、まとめやすい内容でした。
    宿題で使わせていただきます

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