「ミミズ」 の由来

近くに釣りに行くんですね。用水ダムってやつです。
もうカレコレ十年に以上通っています。
フナとかコイもいたんだろうけど、現在の主流は外来魚。
ブラックバスにブルーギルそれに見たこともない小魚が少し。
竿は1000円以下、仕掛けはなくなればそのつど買い増し。
飲み物を持参して、他に必要なのは手を拭くタオルと糸が絡まったときのハサミに長時間が苦痛でないイス程度。
お金のかからない娯楽。

忘れてはいけないのは、粋のいいエサ(みみず)。
これは釣具屋さんで購入してもいいんだけど、
買ったものって土のせいなのか、針で刺すと中の体液(血?)がカラシみたいな黄色でおまけにめちゃめちゃ臭い。
一回エサを付けるだけでもうその手は鼻の近くには寄せられない。
そんな理由も有って私はミミズを自宅で捕獲してから向かうことに決めてる。
何度も探すうちに生息場所を把握したから簡単。
第一に肥えた土、第二に湿りのある場所、つまり日陰。
見つけたのが水路の土の中。
網目のフタを外して、シャベルの幅ギリギリのU字溝の土を下からすくって脇にやると出るわ出るわ。
糸ミミズと呼ばれる数ミリから、ドバミミズと呼ばれる直径一センチほどの大物まで出るわ出るわ。
すこし気持ち悪くなるんだけどね。
もちろん敵はファッショナブルな擬似えさ(ワームとかルアー)の本格的な釣り人なんだけど獲物の量では負けることはない。
こっちはなんせ本物だからね。
信じられないかもしれないけど、中には青く光るミミズもいる。
種類なのか、食べ物なのかは不明だけどとにかく家の土地は肥えているので、魚釣りのえさとしては申し分ない。
ただ一つクレームを付けるなら狩猟が仕事の日本男児の私でもあのグロテスクさにはたまにやられるな。
数匹がボールみたいになると剥がすのも若干躊躇するよ。
昔、都市伝説でハンバーガーにミミズが・・・なんて流行ったけど、考えてみればあれから店のバーガーは食べたことがない。
自分にとってあれを口に入れるのはカブトムシ同様に極刑的。

みみずのしくみ

みみずは不思議で一杯。

目はあるの?どっちが前?何を食べる?
そんな疑問のいくつかを調べてみる。
とりあえず目は無い。もちろん手足も無い。
一般的なミミズの体の特徴は、細長くたくさん線が入っていること。
あれは体節って言うんだって。最先端には口前葉ってのがある。
おそらく食べるため。たぶん食べるため。
体の表面をよく見ると、体節ごとに短いながらも頑丈な剛毛が生えているらしい。
これは全く気がつかなかった。この剛毛がスパイクとして機能する事でミミズは体の蠕動運を前方への移動へと結びつけることができるんだって。
体表に何もないので、ごく下等な動物に見えるけど、頭部器官や疣足を持つ同じ環形動物門の多毛類(ゴカイの仲間)のような複雑な形態を持った祖先から、地中生活への適応として二次的に単純化を起こす方向で進化したのだと言われている。
つまり退化のように見えるけど地中順応への進化ってことだ。

みみずの由来

みみずの由来について最有力とされているものにはなかなかの説得力がある。
それは前項の最初の「目が見えない」ってところだ。
目が見えないってことで、「メミズ(目不見)」とか日光を見ないことから「ヒミズ(日見ず)」が転じたのではと言われている。
耳がないからだったらそれ以上に説得力はあるけど、きっと「もっと他に突っ込みどころ・・あるんじゃないかな〇〇君。」ってミミズ助教授に軽い軽蔑の眼差しで一瞥されるだろう。
それ以外では泣き声からってのがあるらしく、「ミミ」が泣き声で「ズ」は虫や鳥の名前の下につくことの多い「ス」が濁音化したものではないかという説もあるらしい。
私は本当に鳴くのか?というほうが気になったので調べたら本当に鳴くらしい。
ただミミとは鳴かずに「ジー」と鳴くというのだ。
ミミ~と鳴いているのは実はオケラ。(オケラも鳴くんだとこれも驚き)
昔のヒトは勘違いしていたんだね。
そんな訳でこの鳴き声からという説も説得力は不十分。
ちなみに漢字では「蚯蚓」と書くけどこれは中国語からで本来の読み方は「キュウイン」なんだって。
平安時代の辞書には「美美須」との字が当てられていたらしいけどこれも完全に当て字で由来には関係ないっぽいね。
だって「美」は・・ないだろ。

兎に角私ですら魚釣り以外には用途がなく、あの人間とかけ離れた外見はあまり好感をもたれないミミズ君。
(蛇と同様だけどもし大きさが同じだったら顔がないからこっちのが怖いかも。)
だけど本来は我々の食べる野菜に必要な土を作るまさに縁の下の土の中の力持ちなのだけど、それを我々は全く実感していない。
真夏のアスファルトで干からびた彼らを見下していたらうちの犬は舌で拾い上げて美味しそうに音を立てて噛み始めた。
カリカリカリ・・カルシウムくらいにはなるのだろうか。
その生命に、無常を感じた私になんだか納得に似た不思議な感覚が舞い降りた瞬間だった。




著者: tossie
居住地域:北関東 年齢:70年代生まれ 趣味:釣り、散策 言葉の由来を調べています。言語学者とか研究家ではありません。 ただの一般人です。記事は仕事の合間に書いてます。 プロフィール詳細 Twitterでフォロー

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