「恙無い(つつがない)」 の由来

最近あまり使われていないけど、ちょっとかっこつけたい(頭のいいふり)をしたいときや、TPOに合わせて用いたいんだけど、実はその意味の理解は曖昧で突っ込まれると困るシリーズ!
ってちょっと長すぎるタイトルで今日はお送りいたします。

今日取り上げるのは「つつがなく」と「とどこおりなく」の違いから。
例えばテレビやラジオのキャスターが 「つつがなく進行しております。」
これは正しい用法と言えるのでしょうか?

「つつがなく」とは、「無事に」や「問題ない」といった意味であります。
これだけだと正しく感じますが、
漢字で書くと「恙」で、いわゆる病気や災いのことを意味します。
「恙が無い」=「病気ではない」と言う意味で無事にということになります。
一方、「とどこおりなく」は「滞りなく」と書き、流れが中断されることなく、順調にとか支障なく、能率的に、首尾よく、怠りなくなど、予定や計画の時間に関する遅れが無い作業や催しごとの進捗について多く用いるようです。

ということなので、それほど大事に至るはずの無いキャスターが、「つつがなく」を用いてしまうと、人が健康・無事であるニュアンスが強く、不自然である気がしてきますが、確かに、最近ではそのように使われることが多いようです。
さらに思い当たった言葉が出来たので、調べてみると、「そつなく」これまたややこしいですね。
こちらは、失敗もなく(何とか)無難になどを意味します。
「そつ」というのは「手抜かり」や「落ち度」、簡単に言えば「失敗」を意味するのでさほどの誉め言葉ではないのです。んん~やっぱり日本語の「ニュアンス」って難しい。

■「つつがない」由来

「つつがない」は先ほどもご説明したとおり、病気や災難を意味する「恙が」からきています。
意味は無事でいること、異常がないこと。
「つつが」が病気に関わるのは由来からもきてまして、「つつが虫病」に関係するのだそうです。
ツツガムシリケッチア(orientia tsutsugamushi)の感染によって引き起こされる人獣共通感染症のひとつ。
野ネズミなどに寄生するダニの一群であるツツガムシが媒介します。
ツツガムシに刺されると、5-14日の潜伏期ののち39度以上の高熱とともに発症。
2日目ころから体幹部を中心とした全身に、2-5mmの大きさの紅斑・丘疹状の発疹が出現。
5日目ころに消退。
あ~もう かゆいかゆい。書きながら体のどこかが痒くなってきます。
このように、高熱や発疹が種でありますが、時には死亡することもあったのだそう。
ここから「つつが虫病にかからないでいる」ということが無事で生活していることを意味し、便りで知らせる時によく使われる手紙用語となったのでした。めでたしめでたし

ピンポ~ン!

「つつがなく進行しておりましたニュースですが緊急速報です。」
「つつがない」の由来がについて、「ツツガムシに刺されずお元気でしょうかという意味から来ているとする説」が広く信じられていますが、これが誤りであることが判明いたしました。
もともと「恙」(つつが)には病気や災難という意味があり、そうでない状態として「つつがない」という慣用句ができたのだそうです。
これとは別に正体不明の虫さされのあとに発症する原因不明の致死的な病気があり、それは「恙虫」(つつがむし)という妖怪に刺されて発症すると信じられていたのでした。
これをツツガムシ病と呼んだ訳ですが、後に微細なダニの一種に媒介される感染症であることが判明。
そこからこのダニをツツガムシと命名したとのことです。
以上ツツガムシに関するつつがあったニュースをお伝えしました。


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著者: tossie
居住地域:北関東 年齢:70年代生まれ 趣味:釣り、散策 言葉の由来を調べています。言語学者とか研究家ではありません。 ただの一般人です。記事は仕事の合間に書いてます。 プロフィール詳細 Twitterでフォロー

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