「がめつい」
・・・利益に対して抜け目がない、けちでそつなく稼ぐ、がっちりしている、などの意味。強欲であること。
人間の欲とはどれほどのものなのでしょうか。

とある街での町おこしのお話。
なんとか人に来てもらおうと商店街の人々は頭を捻りました。
日本一大きいものとか、ギネスに挑戦とか、B級グルメとか現代では様々な要素はありますが、その町では古いものを飾ることにしました。
というのもその町には「街並み」があったからであります。
古い街並みに古いものを飾る。それだけでは面白くないので、「物」の一つ一つに「物語」を付け加えることにしました。
例えば三代以上に伝わる風呂桶。
おじいちゃんはその桶に躓いて歯を折りました。
お父さんはその桶に徳利を入れて一杯やるのが至福のひと時でした。
ある時、その桶の水が真っ赤に燃えていました。
酔いすぎたかとお父さんは風呂を出ようと立ち上がると隣の家が燃えているではありませんか。
お父さんは着けるものも着けずに桶にヒタヒタのお湯を汲んで隣家に走ったのでした。
そんな話を孫が当たり前のような顔をして話します。

「物」から始まる「物語」は、コミュニケーションを求める現代人相手に一躍主役の座を射止めました。
たくさんの観光客がやってきました。連日観光バスが訪れるほどの盛況ぶり。
人々はいつしか商いのことを忘れ、話に、接待に夢中になりました。
それを見ていた周辺の人々も次々にその街を目指すようになります。
彼らはというと、本業はそっちのけで他所の観光地から仕入れたお土産物や地元の特産品の安価な加工品を売ってお金儲けを始めたのです。
中には、建設業でありながら盆栽や食品を売り荒稼ぎ更にその街が天災でやられると、他所の土地から職人を呼びよせて相手の足元を見ながら商売をするものもいたそうです。

「なんてがめつい人間だろう。」

街の人々は噂していました。
それでもその人を悪く言う人は誰一人としていませんでした。
可哀想な人だ。誰か教えてあげたらどうだろう。
街の人々はすでに気付いていたのです。
物は無理に売るものではない。
真心を込めると自然に売れるものだということに。
また商売以上に人として大切なものがあるってこともね。

■「がめつい」の由来

「がめつい」は、昭和34年(1959)初演の菊田一夫さんの戯曲「がめつい奴(やつ)」から流行語として全国に広まった語なのだそうです。
「がめつい」の由来は、「がめ」と「つい」にそれぞれの説が存在し、それらの組み合わせによって幾つかの説が存在するという過去にない形なのだそうです。
「がめ」については「ちょろまかす」といった意味の「がめる」からとか、スッポンを亀の意味から「がめ」と呼び、一度くわえたら離さないことから強欲の意味に転じたとする説、また、麻雀用語で「大勝して狙って貧欲に勝負する」といった意味からといった説などがあります。
「つい」については「ごつい」「きつい」などと同じように「つい」が加えられたとする説や、「(運など)ついている」の「つい」ではないかという説があるそうです。

組み合わせとしては、スッポンと「ごつい」の説が最有力コンビと言われています。
もちろん根底から覆すと、菊田一夫さんの造語ではないかとか、関西の方言ではないかという説もあるそうです。
確かに関西人はケチとかセコイ(値切ったりするから)というイメージは我々関東人にはある(ちょっとだけ)ので関西の方言説も有力な気がしますね。

「物余り」の時代で物を売ることは大変なことです。
そんな時は「いかに物を大切にしてきたか」を考え直して見つめなおしてみませんか。
自ずと自分に、社会に必要なものは何かが見えてくることでしょう。
物は我々に与えてくるものではなく教えてくれるものなのかもしれません。

答えられそうで答えられない語源 知っているようで知らない日本語クイズ





著者: tossie
居住地域:北関東 年齢:70年代生まれ 趣味:釣り、散策 言葉の由来を調べています。言語学者とか研究家ではありません。 ただの一般人です。記事は仕事の合間に書いてます。 プロフィール詳細 Twitterでフォロー

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