「ハブ(る)」 の由来
「ハブ」は、南西諸島に広く棲息する、クサリヘビ科ハブ属に属する毒蛇ホンハブの別名のことで、同属の構成種の総称でもある。
そう、あの沖縄の笑い話につき物の蛇である。
いや違う。
今日は「ハブ」は「ハブ」でも違うハブを調べるのだった。
「ハブにする」「ハブる」「ハブく」つまり「仲間はずれ」「仲間はずれにする」ことを意味する若者言葉のほうの「ハブ」であった。
■「ハブ」の由来
仲間はずれにするという意味の「ハブ」。
その使われ方から由来については、「省く(はぶく)」からきていると考える人が多いようだが、それは誤りでいくつかの説がある。
私もそうだと確信していたのでこれには驚き。
一つ目は、遠州地方の方言「はぶせ」からきているという説。
遠州弁(えんしゅうべん)とは旧遠江国、現在の静岡県西部地区のことでこの地方で使われている「はぶせ」が仲間はずれとか除外という意味で使われるとのこと。まぁこれはありがちな説。
もう一つは「ハチブ」説。
「ハブ」の前身が「ハチブ」だったことから「村八分」が由来ではないかという説。
村八分というのは、村の中で一軒の家や家族を仲間はずれにすること。
元は江戸時代の農村における風習であったと考えられる。
農村では今のように機械が無かったので、田植えから刈り入れまで村中で助け合う共同作業が欠かせなかった。
そういった意味からも生活全般にわたって強い結びつきを生んでいったという。
そこにはいくつかのルールが存在し、もしそれを守らなかった場合村人全員から正に「シカト」のような無視される処遇を受けた。
それが村八分と呼ばれる制裁である。
村の主要な付き合いである冠・婚・葬・法事・出産・病気・普請(ふしん)・旅行・火事・水害の十種のうち、人道としてさすがに気の引ける葬式と火事の二分の手伝いを除いて他の八種については、何があっても協力も手助けもしないというのが「村八分」である。
縁切ったといった表現が正しいようなこの制裁だが、さすがに猶予はあったよう。
最初は村内で話し合いが行われるなどの過程が存在し、それでもダメな時には片方の草履を脱がせて歩かせるとか違反の内容を書いた札を背負わせて村内を回らせるといったような軽い罰で済ませる。
しかし、それでも埒が明かない重罪には「村八分」が課せられるというわけだ。
さて我々の生活は日々変化している。
冠婚葬祭は近所まで呼ぶといった傾向は消えつつある。
出産・病気・旅行についてはなるべく知られないように済ませたい。
お土産も面倒だし、体が動かないところでの見舞いも迷惑。
出産も欲しくてもできない家庭や、結婚もしてない所帯が相手だと気が引ける。
普請(ふしん)は勤めの間に済ませるので特別な儀式すら敬遠の傾向だ。
火事や水害といった自然災害に近いものに関してはさすがに近所の手も必要となるがその範囲によってはより広い地域単位での付き合いが大切となる。
もちろんそういった付き合いがそれほど希薄ではない地域も多く存在していることは理解しているが、私が言いたいのは、地域から除け者にする「ハブ」の由来かもしれない
「村八分」のほうが失われつつあるのではないかということだ。
どちらかといえば若者は、仲のいい家庭以外との付き合いは遠慮する傾向だ。
お金で解決できるものは極力それで済ませたい。
隣近所にプライバシーをもらしたくは無い。
それだけ、家庭環境も構成も生活も様々な格差が生まれているということでもある。
跡継ぎはいるの?嫁さんは?子供はできた?
余計なお世話。
共同作業も減った。
役職は持ち回り。
お金関係の話はもってのほか。
もちろん私は若い人の立場に立つがそれが正しいとは言いたくは無い。
「ハブ」の意味として将来は「お互いに感心を持たないこと」という注訳がつく日もそう遠くは無いかもしれない。
教室の悪魔―見えない「いじめ」を解決するために (ポプラ文庫)
「傷つきやすい人」の心理学 ~人間関係にとらわれなくなる本~
ぽん - 2015年10月26日, 1:14 PM
関西では「ハミご」が主流ですね。
かおりちゃんもゆーんよ - 2019年6月29日, 5:56 PM
かおりちゃんもゆー