「しつこい」 の由来
「ひつこい?聞いたことないな~。」
大学の友人の聞き慣れない単語にそんなやりとりがありました。
じつはこの「ひつこい」とは「しつこい」のことで、関西地方や中国地方、九州でも「ひつこい」が訛りとして存在するのだそうです。
私の住む関東では大部分の人が「しつこい」というので「ひつこい」など聞いたことがありませんでした。
でもよくよく考えて見ると、毎度登場する江戸っ子の祖母は「ひ」が言えない。
だから「潮干狩り」などは、「しおしがり」と発音する。
「ひざし」は「しざし」、「ひょうきん」は「しょうきん」・・・いやそんなにひどくはないが、確かに関東の人は「ひ」が言いにくいという現状があるのかもしれないのでこの事例になんとなく納得させられる。
それから「しつこい」が出てくるたびに、私は友人を振り返り「ひつこい」といったものだが、ついには5度目ほどで友人のほうから「しつこい!」と怒られてしまった。
私にはそういったところがあるのだが、確かにひつこかったと思う。
■「しつこい」の由来
しつこいの由来は、なんと!4つもあります。
まずは有力といわれる二つから。
一つめは、「しつけ」と「こい」の二つの言葉が結びついたできたという説。
「躾(しつけ)、仕付けまたは仕付とも」とは皆さんご存知、今失われつつある人間や家畜の子供もしくは大人が、人間社会や集団の規範、規律や礼儀作法など慣習に合った立ち振る舞いができるように訓練すること。
うるさいうるさいと思いながら聞くものの、大人になってから出来てないと恥をかいたり苦労したりするものです。
場合によっては人生を左右することもあります。
作法、しつけは一日にしてならず、皆さん注意しましょう!
「こい」はそのまま濃い。濃い薄いの濃いです。
つまりは「おこないが濃い」という意味となりそこから「やることがくどい」の意味に転化して「しつこい」になったという説。確かに説得力があります。
もう一つは、漢字の「執」と「こい」という接尾語が結びついたと考える説。
「執」は「粘り強い」とか、「あきらめない」の意味。「執念」とか「執着」とか・・・ですね。
接尾語の「こい」は、こちらも、もとは「濃い」からきているようで「冷やっこい」や「丸っこい」といった「っこい」の形での考え方。
「執」を強めると「こい」と考えると、絶対にあきらめないといった意味になります。
たしかにしつこそうですね。
若干信憑性が薄い説として二つ。
一つ、「尻腰がない」から説
「根気がない、意気地がない」ことを「尻腰がない」と言うのだそう。
その「尻腰(しっこし)」が「しつこし」、「しつこい」と変化して生まれたとの説。
ただ、「尻腰(しっこし)」という言葉を私も初めて聞いたのでそれまででしょう。
一つ、「執拗」から説
「執拗」・・・何度もしつこく、1つの事に強く拘る様。
この執拗を「しつくどい」と読み、それが「しつこい」となったという若干無理のある説。
どれもこれもしつこさが十分に出ています。
由来に関わる、どの漢字を見てもあまり感じが良くなく私自身も自分の「しつこさ」を反省させられます。
「日本人はしつこいよね。」
国際結婚した友人の言葉を思い出しました。
最近のコメント