「風呂敷」 の由来
夏祭りの手伝いに行ったときの話しだ。
着物を扱うのに付き物なのが「風呂敷」。
最近はこんなときにしか見かけなくなった。
親からお遣いを頼まれて、預かった品を風呂敷で包み、とある店まで運んだ。
「あら、やけにおおきな風呂敷ね。大風呂敷・・ぷっ」
いくら親から預かり届けただけの私でも腹ただしい。
「大風呂敷」あまり感じのいい言葉ではない。
自分の言葉で笑う緩さも三流芸人みたいであまり好感はもてない。
そんな私の表情を感じてか、姿勢を正して神妙な面持ちで先方が聞きなおした。
「こんな大きな風呂敷、そうそうは見かけませんがどちらでお求め?」
もう遅い。
私の機嫌はそっぽを向いている。
「相撲部屋ででも求めたのでしょう。」
適当にいなして相手の顔も見ずにその場を離れた。後で親に聞いてみると、購入先は分からなかったが確かに珍しい大きさなのだそう。
測って見れば一坪ほどの大きさもある。
相手にそれほどの嫌味はなかったことが判明し、若干悪いことをした気がした。
「お遣いご苦労さん。飯でも食っていけ。今日は祭りだ。」
そういって普段は頼まない割烹料理店に電話すると、ほどなく重箱が五つ届いた。
会計を済ませた父の顔色が優れない。
どうしたのかと聞いてみると、
「なんて失礼な店だ。こりゃ葬式に使う風呂敷だろ。」
擦り切れたその包みは、確かに藍色でしかもくすんで端は擦り切れていた。
一日で二度も関わりを持つと不思議な感覚に陥るものだ。
これはきっと風呂敷の神様が私に調べろと啓示を与えている・・・ はずだ。
■風呂敷の由来
風呂敷の起源は定かではないが、正倉院の所蔵物にそれらしきものがあったらしい。
古くは衣包(ころもつつみ)、平包(ひらつつみ)と呼ばれていたのだそうだ。
それが風呂敷と呼ばれるようになったのは室町時代末期。
大名が風呂に入る際に平包を広げその上で脱衣などして服を包んだ、あるいは足拭きにしたなどの説があるが明確ではないのだそう。
やはり風呂に関わりがあるのは間違いなさそうである。
足利義満が大湯殿を建てた時の話、招かれた大名などが入浴する際に他者の衣服と間違えないよう家紋を付けた布に脱いだ衣服を包み、湯上りに際してこの布の上で装束を調えたという有名な話があるのだそう。
この時用いられていた敷布が「風呂敷」と「平裹(平包)」の双方の役割を果たしていたというのが風呂敷らしきものの最古の記録。
このような入浴の際の習慣は、江戸時代にも継承されていった。
一枚の布ではあるが様々の形状、大きさのものを包むことができるため広く普及する。
様々な大きさのものが作られ強度を上げるため刺子を施すといった細工もされた。
サイズの大きいものは大風呂敷といい布団を包めるようなものもあるらしい。
始まりが風呂に敷く布で包むことかから「風呂敷包み」とか「風呂敷」と広く呼ばれるようになった。今回の由来は想像通りである。
そして行商人たちによって全国に広められていった。
しかし、時代は流れて風呂敷の文化は廃れつつある。
銭湯に行くという習慣もなくなれば、風呂桶やシャンプーなどをわざわざ持っていく必要も現在は無い。
それなりの買い物袋程度の袋や、濡れもの専用のビニール袋もある。
ただ、エコの観点で物事を見たならばこれ以上に自然に優しいものも無いようだ。
レジ袋1枚を約8~10gとすると、製造過程で小さな猪口1杯分の原油を使うとされている。
更に製造過程で30g、焼却過程で31gの二酸化炭素を排出する。
つまり、1枚のレジ袋を使用しないと約61gの二酸化炭素の排出抑制となるのだ。
現在日本で年間に使われるレジ袋は約300億枚と言われる。
これをもし風呂敷へ転換することができたなら、地球温暖化防止に貢献できるってことだ。
ただ・・・ここまで書いて申し訳ないけど、買い物に関しても銭湯に関しても海水浴でも、屋外レジャー、バーベキューでも、レジカゴのほうが断然便利だ。
やはり風呂敷の出番は非日常でしかありえないのだろうか。
風呂敷(ふろしき)70リバーシブル鮫・桜約70cm/紺(・ローズ44-10169-203)
【送料無料】風呂敷(ふろしき) 綿 桐唐草 三巾(100cm角)
最近のコメント