「ひょっとこ」 の由来
お祭りの帰りに立ち寄った甥っ子がすかさず私を捕まえて無理難題を突きつけてきた。
「おいちゃん、ひょっとこの踊り方を教えてよ。」
音楽は決まって1か2の私、更にダンスや踊りには無縁でクラブ経験も数回。
踊りのセンスの無さに自ら気付いてしまうのは自然な成り行き。
なんとか勘弁してもらったら、これならどうだと妥協案を持ち出してきた。
それは、ひょっとこのお面と衣装を用意しろというのだ。
どうやら彼は本気らしい。
帰ってくる前に義理の姉にもおねだりしていたようで、手には露天商で購入したお面を抱えているのだが、それでは納得していないよう。
ネットで調べてみると、数千円から数万円するようだ。
彼の目は意外に肥えていて、これがいいと指さす品はどれも彫り物の○万円コース。
気を紛らわせようと、お面はこのくらいにして・・・って感じで次は衣装の検索。
ところでどんな格好が「ひょっとこ」なのだろうか。
想像もつかないし、ちょっとだけ興味もあった。
調べてみると宮崎県日向市に「日向ひょっとこ夏祭り」なんてのがあるのが分かった。
祭り自体は昭和59年に始まった新しいものではあるが、毎年数万人の観客を集め、踊り手も2000人以上もいるらしい。
同市最大かつ宮崎県を代表するお祭りだそうで、動画を見るとその可笑しさと盛大さが伺える。
なんとなくやらされていた「ひょっとこ散策」が一気に身近なものになった。
私は面白いものが大好きだ。
赤を基調とした衣装に、気になるのがだらしなく垂れ下がった赤フンドシ。
それを着ている甥っ子を想像したら、ぷっと吹き出してしまい
近く控える親族の結婚式の余興に使えるのであれば、それもありかなって気持ちになる。
「よしわかった。俺に任せろ。」
すでに購入ボタンをクリックしていた。
■「ひょっとこ」の由来
とはいえ、何も知らずに購入するのもここまできたら物足りない気がして、「ひょっとこ」という踊りやお面以上に、奇妙な名前が気になってきた。
「ひょっとこ」とは、口をすぼめて曲げたような表情の男性、あるいはそういった面のこと。
潮吹き面(しおふきめん)ともいうらしい。
女性の演じる「おかめ」「おたふく」と対に扱われることが多く、お面によっては左右の目の大きさが違うこともある。それと頬被りをしている場合が多い。
「ひょっとこ」の由来については、竈(かまど)の火を竹筒で吹く「火男」がなまったという説や口が徳利のようであることから「非徳利」であるという説が有力視されているのだそう。
確かに、その口の独特な形からはどちらの説も納得で、「火男」という言葉からきているという、想像もつかなかった結びつきには驚かされる。
「笑わせる」という大儀の元に生まれたものだと安易に考えていたので、「ひょっとこ」という類を見ないネーミングにきっと笑いの要素が隠れていると予想していたから、ある意味で肩透かしをくらった気分だ。
岩手県奥州市の江刺地方に残る民話の中に「ひょっとこのはじまり」というものがあるそうで、その中ではヘソから金を生む奇妙な顔の子供が登場する。
死んでから自分に似せた面を竈の前に架けておけば家が富み栄えると夢枕に立ったという話だ。
漫画日本昔話にありそうな物語だね。
その子の名前がなんと「ヒョウトクス」といったそうな。
古代ローマの戦士にでもいそうな名前でありながら「ひょうとくす」とひらがなで表記してみるとなるほどと思い知らされる。
こういった類似の話は各種あるようだが、「ひょっとこ」に関しては東北地方では火の神様として扱われるケースが多いようである。
我々が通常もつイメージでは喜劇のキャラのように感じるものだが、元は神聖な、例えば神楽に使用された面として(つまりはヒルコ、カグツチ、サルタヒコ等と同じように神様として扱われていた)の立場と捉えておくのが正しいようだ。
このことは大切なことで、甥っ子にも正しい指導が必要だろう。
ただ笑わせるように踊ればいいというわけではない。
そこには、「ある物語」が必要なようだ。
人々の笑いを誘う「ひょっとこ」も実は位の高い神様だった。
露天のお面売り場に、○○ライダーやらポケモンやらキューティーハニーやらと一緒に並ぶ「ひょっとこ」のお面のルーツが神様だったと考えると、なんだかすごく罰当たりに感じるものだね。
匿名 - 2015年11月28日, 12:53 AM
ヒョットコ=ヒッタイト
隼人=ハットュシャ
スサノオ=スラオシャ
ヤソカ早船=太陽の船
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