「蔑ろ(ないがしろ)」 の由来
「ないがしろ」は「蔑ろ」と書きます。
意味は、軽んずること・無視すること。
「ないがしろ」では分かりませんでしたが「蔑ろ」と書くとすこしイメージが湧いてきました。
この漢字で思いだすのは、「軽蔑」・・・いやしいもの、劣ったものとみなして、ばかにすること。その他、さげすむことなど。
相手に対する興味を断ち切ってしまうこと、と考えると分かりやすいかもしれません。
相手を劣っているとみなして、相手の良いところからも目をそらしてしまう。
すると、その相手の本当の姿を知ろうとはしなくなります。
高飛車とか最近では上から目線など、プライドの高さからそれが悪いほうに作用して生まれてくる考え方や行動かもしれません。
どちらもあまりいい状況とは言えませんね。
「ないがしろ」にされるのも、「軽蔑」されるのも好ましいことではありません。
私も人と接する上で、努力はしているつもりでもそういった気持ちが心の奥底にはある気がします。
「いじめ」同様に、自分がされたくなければ自分もしない努力をすることは必要ですよね。
■「ないがしろ」の由来
ないがしろは、「無きが代(なきがしろ)」がイ音便化された語だと言われています。
音便化とは、発音上の便宜のために語中・語尾の音が他の音に変化することを言います。
「代(しろ)」はその漢字のまま、「代わりとなるもの」を意味します。
例えば、「身代金(みのしろきん)」といったようにです。
全体を通した意味を考えると「代」が無い、つまり「代用の必要すら無いに等しい」という意味となります。
このことでもすでに軽んじているという意味がよく出ています。
それが更に「人を無いようなものとして扱う」という意味となり現在のように、軽視したり無視したりすることを言うようになりました。
ところで、「蔑」はどこからきたのでしょう。
この一文字はそれはそれで絶対的な存在感を持つようです。
「さげし・む 蔑む」「さげすみ 蔑み」「さげす・む 蔑む」
他人を、自分より能力・人格の劣るもの、価値の低いものとみなす。
見下げる。見くだす。送り仮名が違うだけでこういった意味も伴ってきます。
これも「ないがしろ」の非常に近い意味をもつのはその意味でも明らかです。
更に侮蔑(ぶべつ)という言葉も出てきました。
こちらは、他者を侮り、蔑み、馬鹿にして、ないがしろにする行為の総称。
軽蔑と比べると、敵対の気持ちが強く出ているのが特徴のようです。
こうしたことから考えると、軽蔑の「軽」は「侮蔑(ぶべつ)」よりは軽いという捉え方になるのでしょうか。
「ないがしろ」「軽蔑」「さげすむ」「侮蔑」
それぞれ大きな方向性は一緒でも、その時々で使い分けられています。
こういった状況はおそらく日本独特のもので、その細かさが日本人の特徴とも言えます。
しかしその言葉が人間関係の中で、あまりよい関係で無い以上はそういった考え方や文化を肯定することはできないでしょう。
英語ではポジティブな考え方として、「リスペクト」という言葉がありますが日本では尊敬とか畏敬といった普段使わない意味になっております。
その言葉との距離感が今の日本を物語っている気がします。
「相手に敬意を払う」という考え方を、口にだすことによって知らず知らずに我々がとってしまっている行動「ないがしろ、軽蔑、さげすむ、侮蔑」がなくなっていくのかもしれません。
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