「鮎(アユ)」 の由来
「鮎(アユ)」 の由来についてまとめたエッセイです。由来だけ手っ取り早く知りたい人は下のほうまで飛ばして読んでね。
先日、梁漁(やなりょう)へ行ってまいりました。
梁漁(やなりょう)とは、川の中に足場を組み、木や竹で、すのこ状の台を作った梁(やな)という構造物を設置し、上流から泳いできたアユがかかるのを待つ漁法のことです。(写真参照)
これが面白い。
水の流れ込む様を見ているだけでも飽きず、その上黙っていても天然のアユが「勝手に」流れてくる。
新鮮なアユはその味も市販のものとは比べ物にならず、背びれ、腹びれ、尻尾をとって頭から骨を引っ張れば、ツゥ~っと身を置き去りにして簡単に骨抜きにできるのです。
是非一度、こんな体験をしてみてください。
たまたま生まれてから川魚をほとんど食べたことのない人が同行しておりましたが、その人生を悔いておりました。
さて前フリはこの辺にして本題。今日は「鮎(アユ)」です。
この漢字にしても魚に「占める」独占しています。
川を独占?川の王様?あのひ弱ななりで?
それとも骨を占いにでもつかったのでしょうか。
漢字と共にその由来を調べてみましょう。
アユの由来
古語の「アユル」から来たものだとされているそうです。
アユルとは「こぼれ落ちる」「滴り落ちる」という意味の言葉で、川で成長したアユが産卵をひかえて川を下る様からつけられた呼び名なのだそうです。
古くは1年しか生きないことに由来する「年魚」、体表の粘膜に香りがあることから「香魚」、鱗が細かいことから「細鱗魚」などがアユを意味する漢字にあてられていた。
現在の漢字「鮎」は、奈良時代頃から使われているそうです。
ただ、当時の鮎は「ナマズ」を意味していたとか。
(ちなみに中国での鮎はいまでもナマズだそうです)
ややこしい話ですね。
現在の鮎が一般的に書物などにあてられたのは平安時代や室町時代ごろからとされているそうです。
ではなぜこの漢字?それにはいくつか説が。
1、アユが一定の縄張りを独占する、つまり占めるところからつけられた字であるという説。「占拠」「独占」
2、日本書紀にでてくる話に、神功皇后が今後を占うために釣りをしたところ釣れた魚がアユであったためという説。
どちらにしても今の「占」の漢字の意味がからんでいるようです。
もう一点興味深い情報がありました。
ナマズとアユの共通点?
それは「粘る」であります。実際、梁で捕獲したアユはネバネバします。
これは実際触ってみないとわかりません。
なかなかつかまらない。
そしてそこにたまにナマズがあがるのです。
これがまたつかまらない。
なるほど!漢字で考えれば粘るでも「占」の漢字が共用できるのです。
これは両者を漢字で混同する意味がよく理解できます。
ただ一点気になることがありました。
川で捕獲したナマズがの腹が黄色かったのです。
これって・・アメリカナマズ。
しかもよく観察すれば外来魚の王様ブルーギルまで。
深山鍬形同様、山だけでなく川にも新しい波が押し寄せているようです。
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