「カウンター」 の由来
一人で牛丼チェーン店に入った。
都内だと特にカウンターは向かい合わせでだいたい二列あるものだがそのお店は珍しく向かい合わせで一列、その代わりにテーブルが10ほどある。
店にはいずれも男一人の客が三人、カウンターに座っている。
一つ二つ空けて座ることを考えた場合、私が座るのは入ってすぐのレジの脇。
なんとなく人の顔を見るのも嫌だから、がらがらのテーブル席に座った。
すると後から後からお一人様の男性が入店しカウンターに座る。
テーブルに座る自分だけやけに目立っていて偉そうでなんとなく気まずい。
しかも研修の札を付けた店員はいちいち呼ばないとこちらを向かない。
まぁ確かに暗黙のルールを守らない私が悪いわけだが。
私の頼んだ品が届いたころ、テーブル席にお一人様の客が座った。
よかったとそっちに目をやると釘付け。若い女性でしかもかなりの美人に見える。
というのも、彼女は彼女でカウンターからも私からも顔が見えない方向に座ったから。
その格好もすごい。
くびれた体のラインのしっかりわかるざっくりしたセーターにグレーのスウェットそして白のブランドサンダル。
要はどんな男もグッとくる無防備な姿。
色白でスタイルもいい女性の寝起きの姿を想像してもらえばそれに間違いない。
車のキーケースを無造作に机に放り投げて食べるセレブっぽさを感じるその姿が妙に気になりついつい箸を落としてしまった。
拾いに来た「研修中」はというと不揃いの眉毛が太く、有名人に例えるならイモト。
ざっくりセーターの女性から注文を受ける姿を見ると同じ人類なのかと疑う。
その女性の登場でいろんな意味で私がカウンターに座らなかったことなど何もなかったと感じるほど店内が不思議な空間に陥った。
カウンターはやはり男性の席なのだろうか?
■「カウンター」の由来
自らの考えがこれほど覆されることもそうはない。
カウンター攻撃、つまり攻撃を受けながら、反撃する戦法のカウンターと飲食店などのカウンター席は同じ意味を持つのだという。
英語のカウンターにはどのような意味があるのかというと「反対の」とか「対する」とか「向かい合った」なのだそう。
つまりお店の「カウンター」も店員と向き合うとか対すると考えればなるほど納得できるというわけ。
説明の必要もなくカウンター攻撃も、相手の攻撃に対して向かい合うことであり言われて納得というわけです。
つまり今日の結論はというと、男性的な人はカウンターに座り女性的な人はテーブル席へ。
急いでいる人はカウンターで脇目も振れずかきこみゆっくりしたい人はテーブル席でぼんやり。
訳アリの女性は黙ってテーブル席へ、それを横目で見たい人もテーブル席へ。
私は空いていれば意地でもテーブル席へ。
へべ - 2015年5月15日, 10:13 PM
文体がとても好みでした。
もっと長い文章を読みたいと思わされてしまいました。
しん - 2017年5月18日, 10:15 AM
お店の場合
アカウント (お勘定)のカウンター
ボクシングはコントラスト(対比)のカウンター