「囮(おとり)」の由来

Photo By Hiyashi Haka

「囮(おとり)」 の由来

鮎(あゆ)の釣り方ってご存知ですか?
なが~い竿の先に鮎をぶら下げて水に落とす。
すると鮎が二匹になって戻ってくるというのがそれ。
だから事前に囮となる鮎を購入しなければならない。
道具もエサもなんとも豪華で高級な漁法。
興味はあるけど手は出せずにいる。

先日、テレビで説明を聞いていたら、私の知識に驚くべき誤解があったことに気付かされた。
それは囮鮎がどのような役目があるのかという点。

私はてっきりメスの鮎でもぶら下げて、そこにオスがやってきて引っかかり釣れるものだと思っていたのですがこれは全くの誤り。
実はオス同士の縄張り争いの習性を利用したものだったのだ。

コケを主に主食としている鮎は、それぞれが縄張りをもっているのだそう。
だからそこに別の鮎が紛れ込んでくると、追い出しにかかる。
そうして囮に近づいてきた鮎が糸にかかり釣りあがるというわけ。

「囮(おとり)」の由来

「囮(おとり)」の意味を調べると、その意味は

(1)ほかの鳥や魚・獣を誘い寄せるためにつないでおく、同類の鳥や魚・獣。
(2)人を誘い寄せるために利用する人
とある。

どちらもその意味は大体同じようだ。

その由来を見ても、なるほど、その言葉に含まれる「鳥」が関係している。

「同類を招き寄せるための鳥」からきているのだそうだ。

なるほど、空を高く飛ぶ鳥を捕獲する時にどのような方法を用いるかご存じだろうか?
籠に同種を入れておき、そこからわざと枝木を出す。
その枝木には「とりもち」なるものを巻き付かせておく。
これは粘着テープのようなもので、鳥が止まるとくっ付き、飛び立てなくなる。
そこへ静かに近づいて捕獲するのだ。

※これは私自身の記憶からなので捕まえ方、用いる道具には地域差があることを補足しておこう。

囮は「おきとり(招き鳥)」の音変化と考えるのが妥当らしい。
漢字では「媒鳥」とも書くが、囮がもっともポピュラー。

この漢字をみると、どことなく籠の中の鳥のようにも見えなくもない。

他にも「ヲオリ(雄取)」からきたとか、「ヲソトリ(偽鳥)」からきたといった説もあるが、どれも「鳥」が関係する点からも、その捕獲の仕方から由来はきたと考えて間違いなさそうだ。

人間に置き換えた「囮」話として有名なのはやはり囮捜査であろう。

それは捜査員が身分を隠して犯行グループに潜入したり、犯行を起こしやすい状況を作ったりして、犯罪の実行を待って逮捕する方法。
調べてみると、もっと我々の生活に近い「囮」話を見つけた。

それは「囮広告(おとりこうこく)」。

これは消費者に魅力のある商品を格安で売ると広告し、注文を受けるとその品は売り切れたとして別の商品を売りつける行為。
もちろん最初から別の商品を売りつける手段だろうから性質が悪い。
まだ被害にあったことはないけど、気を付けようと思う。

自分の生活圏以外の生き物(トリや魚)を簡単に手に入れたり、同朋を陥れたり、やっぱり一番ずる賢く怖いのは人間だね。




著者: tossie
居住地域:北関東 年齢:70年代生まれ 趣味:釣り、散策 言葉の由来を調べています。言語学者とか研究家ではありません。 ただの一般人です。記事は仕事の合間に書いてます。 プロフィール詳細 Twitterでフォロー

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