「山葵(わさび)」 の由来
日本人ほど食にこだわる人種って他にいないのではないでしょうか。
醤油にソースに香辛料、からしと・・・最後に今日取り上げる「わさび」。
辛いものが好きな民族は他にもたくさんあるでしょうが、ことこの「わさび」は別物。
なんていうか「ツーん」なんですよね。
私も特に取り立てて好きということはありませんが、何だか気になって刺身についてきたものなど、特に理由がなければ全部使わないといられない「たち」です。刺激なのかな。
そうです。「わさび」と切っても切り離せないのは刺身と寿司なのです。
この文化が「わさび」の存在価値を倍増させるのでしょう。
そんなわさびがどんな生育を遂げて食卓の片隅に並ぶか皆さんはご存知でしたか?
なんとなく生姜やニンニクのようにおろし金でスルということは知っていたのですが、どんな環境で何が大切かというその繊細さを最近知りました。
それはたまたまその畑に立ち寄ったからであります。
カーナビで目的地へ向かう途中、賑わっている場所がありました。
日曜日であるという事実もありましたが、観光バスにタクシーにマイカーなどは数百台を超える盛況ぶり。
大自然に囲まれ、一見ただの公園のようなその場所とのギャップに混雑の嫌いな私でも、その真実を確認せずにはおれませんでした。
最初に売店にレストラン奥へ進むと水車小屋に神社。
もちろん関係付随する施設が多いのですが、メインは「わさび」だというのです。
あの刺身のツマの脇の緑色がこの集客の現況だという事実はしばし私の足をそこに留めました。
「わさび」について
わさびは、沢で清流を利用して栽培されます。
(このことを恥ずかしながら知りませんでした)
水温は10℃~15℃が適温で16度以上になると水中に溶けている酸素量が欠乏した育成障害をおこしてしまいます。
水質は鉄や硫黄などを含まない中性が望ましくフキ、イタドリ、セリなどが自生する環境に近いそうです。
更にわさびは水の濁りを嫌い豊富で清澄な水量が求められます。
このように非常に繊細なのです。
私の見学したその場所は、広大な清流の湧き水の沢の近くの平坦地を数メートル掘り下げて、伏流水の湧き出る所に砂で畝を作り、畝の両側にわさびを植えつける方法だそうで、真夏に直射日光を避けるために緑蔭樹を植えられていたり、一面に黒いネットがかけられていました。
捨てる部分がなく、葉から白根の先まで利用できるため、お土産やさんでは、様々な商品が並んでいました。
変り種を紹介すると「わさびのアイス」。
辛いということは全くなく、子供でも楽しめる甘さ。
それでもあの独特の風味は活きていて不思議な味でした。
わさびには毒消作用(抗菌作用)があるそうで、将軍や貴人の食卓に欠かせない食材だったそうです。
現代では、食中毒の原因菌として恐れられるO-157などに対しての優れた抗菌性が立証されてるそうで、天然素材の食品添加物として新たな用途に利用されています。
また脳血栓や心筋梗塞を防ぐ作用や、制ガン作用など医学的効能もあるようです。
だから高齢者の皆さんが両手に抱え込んで買いこんでいたのですね。
わさびの由来
わさびの語源は「悪障疼(わるさわりひびく)」という言葉の略であるというものがあります。
この意味は、わさびの特徴である「鼻につんとくる辛さ」を表現した、「鼻迫(はなせめ)」が転じたとのことですが、この転じ方はこじつけかもしれません。
でも私は「悪障疼」とはまさに思ったより辛かったという状況の表現が的確でこれぞ「わさび」と感じますが。
他にも「わさ」が鼻を走る辛さを表現し、走るを意味する古語である「わしる」に関連づけて、「び」は「実(み)が転じたものであるといって説もあるようですが、若干苦しく感じます。
辛さと関係ない説としては、わさびの葉っぱが「葵」に似ていることから「早葵(わさあふひ)が転じたものではないかという説もあるそうです。
ただそれもなべ「早」なのかと聞かれたなら説明は難しいようです。
それでも「葉っぱが葵に似ているから」は現在用いられている漢字からも一番近くにいるのかもしれませんね。
平安時代の「本草和名」や奈良時代の「賦役令」ではすでに「山葵」と書いて「わさび」と読ませていたようですから日本人と「わさび」の関係は非常に古いということは確かのようです。
まぁその時はさすがに刺身につけて食べていたなんてことはないでしょうが。
ぜひ一度その栽培法をその目で見学し、できればその場で食することをお勧めします。
その繊細で清浄な現場で生まれた辛さがその味以外に我々の体を浄化してくれる気がしてついついもう一口・・・とそのまま口に放り込んでしまいました。
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