「箸・橋(はし)」 の由来
遊園地の屋外の飲食スペースで昼食をとっていたら隣でわんぱく小僧がやきそばと豚汁をかきこんでいた。
一刻も早く遊びに行きたいという感情を全身から放っている。
なんとも行儀が悪くて、肘をついてクチャクチャ音を立てながら水を飲むときなどはテーブルの上に箸をハの字に投げ出していた。
どうやら小学校の親子遠足らしく、彼のお母さんは他のテーブルで世間話に夢中のご様子。
それを見かねた隣のテーブルのお父さんがその子に笑いながら話しかけた。
「そんなに急いで食べるとヘンなところに入っていっちゃうよ。」
一向に聞く気配もない。そんな彼の態度を見て更に「いいかい。箸ってのはこうやって橋みたいに置くからはしっていうんだよ。」
そういって箸を、豚汁のお椀の上にキレイに揃えて置いた。
するとどうだろう。
さっきまで無視をしていたその子が、へぇ~って顔しながらその友達のお父さん尾の顔をはじめてみた。
それを聞いていた私もへぇ~って思ったんだけどどちらにも漢字があるわけで、心の中で何をおっしゃる、そんなことあるわけがないって鼻で笑っていた。
でもうまいこというなぁ~との感心もあった。
箸の由来
箸については中国では約3,000年前の歴史があるようです。
では日本に入ってきたのはいつごろか。3世紀ごろに編纂された「魏志倭人伝」では「手づかみ」で食事をしていた記述があり、後の「古事記」や「日本書紀」には箸に関する記述があることからその間の4世紀から7世紀の間に伝わったようです。
その由来は、短い言葉にありがちな、諸説があるようで、鳥の嘴(くちばし)の形に似ていたから「はし」。
なるほど「くち・ばし」と、これは思いつきませんでした。
端の方を使って挟むから「はし」。これは思いつきますね。
他にも「挟むもの」という意味から、その役割に由来するとの説。
そして、「橋」や「柱」などその形状から「はし」となった説。
ということでこのお父さんが言っていた説もあながち嘘ではなかったようです。
驚きですね。ということで・・
橋の由来
「端」の意味から「間(あいだ)」の意味を持ち、両岸の間(はし)に渡すものとして、離れた端と端を結ぶものという意味からその構築物も「はし」というようになったのだそうです。
これらの「箸」に関係する言葉の語源となる語は、相互に語源となっているケースが多いのだそうで
どれかが基なのではなく、同じ語形と考えられているようです。
更に一歩先へ進むと、「はし」という日本語は向うとこちら二つの世界をつなぐ「橋渡しの役目を持つ道具」につけられたものではないかと考えるヒトもいるようです。
端と端をつなぐ「橋」、高いところと地上をつなげる「はしご」。
「お箸」も例外ではなく、口に運ぶ先は人のもの
もう片方の端は神様のものとして考えられていました。
ですから食事の時にはお箸に神様が宿ると考えられていたようです。
奈良の正倉院にはお箸のルーツである、神事に使われていたという木を折り曲げて作られたピンセット型のお箸が現存するのだそうです。
是非見てみたいです。
そして最初の遊園地に戻ります。
彼の横暴な食事は、つまりは食べることへの感謝の欠如なのでしょう。
神様から食べ物をいただくと考えればやはり箸は神聖な道具。
粗末にはできませんね。
そのことを付け足せばあのお父さんの教育は120パーセントかもしれません。
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