「ビンタ」 の由来

「平手打ち」のはずなんですけど、なぜか「ビンタ」って言うんですよね。
私が小さい頃には、まだ学校での体罰が合法で(いや合法なんてことはありえないですが)そう、あれは小学校5年生のクラス替えのときのお話。
自分は2組で女の先生だったんだけど、隣のクラスが新任の男先生で、その先生が素晴らしかった。
いつもポケットの手を突っ込んで、首を前に突き出して歩く姿はチンピラ。
授業中に話を聞いてない児童に向かって靴を投げつけたり、マラソンで手抜きした隣のクラスの児童はボコボコにされていた。
その先生が日常的に用いていたのが「ビンタ」であった。
私の人生でこれほどショッキングな言葉との出会いはなかった。
ただ顔を叩くだけなんだけど、それが目の前で日常的に行われるのを見ていたから震え上がったもんだ。
おそらく毎日平均5人くらいは叩かれていたし、奴はありえないけど女子にも手加減しなかった。
正直隣のクラスの女先生でよかった。
こっちの先生は男子児童から下ネタでからかわれていたからそれはそれで先生のほうが大変だったはずだが。
今では笑い話かもしれないけど、当時は120%の恐怖でしかなかった。

そんな記憶がよみがえったのは大晦日の夜だった。
視聴が恒例となっているダウンタウンの笑ってはいけない〇〇〇だ。
この番組内でへたれこと山崎邦正さんがプロレスラーの蝶野さんにマジビンタされるのがこれまた恒例となっている。
その往生際の悪いことといったら・・・
嘘をつき、逃げ惑い、叫び、後輩に押し付けようとし、処刑台にのぼっても、隙あらば逃れようとする。
なんとも見苦しい。
まぁそれほど痛いからなんだろうけど、たかがビンタだろとテレビの前で笑う私。
しかし、ふと小学校のそんな出来事が思い起こされたのだった。

■「ビンタ」の由来

「ビンタ」で調べてみると、頭髪の鬢(ビン)の所。
他人の頬を手のひらで打つこと。
どうやら側頭部のことを「ビン」というよう。
辞書で「ビンタ」を調べてみると、他人のほおを平手で打つこと。鬢のあたり。あたま。大差は無いみたい。
やはり鬢(ビン)に関係がありそうなので、更に調べてみると、「鬢」は、頭の左右側面の耳ぎわの毛。
びんずらのことを言うらしい。
「賓」で調べると、すれすれにくっつくという意を含むとか。
鬢は「髟(かみの毛)+音符賓」で、髪の末端、ほおとすれすれのきわに生えた毛とのこと。
つまり、鬢に接尾辞の「た」がついて「びんた」となり、頭全体を指すこともあるが、特にビンのあたりを指すのでビンタは頬を打つことにも使われたという結論らしいんだけど、まだ納得ができないので更に調べてみた。
すると、「ビンタ」は鹿児島弁のビンタ(頭部の意)に由来しており、頭部を打つ懲罰行為=ビンタと誤解されて広まったものらしい。
鹿児島にもプロレスラーみたいな「おいどん」先生がいたんでしょうかね。

もちろん相手を傷つける行為であり、格闘技など認められた場所、鍛えたもの同士が意地を見せ合う手段としては見ごたえもあり、肯定できるものである。
しかし!
格闘技の技としてでなく、それ以外の場面、つまり一般の社会生活で平手打ちを使用する行為は、正当防衛と正当化できない場合、侮辱行為、暴力行為とされる。(現代ではね)
確かに親に顔だけは叩くなと言われて育った気がするし、高貴な生き物は動物でも顔や頭を触らせないと読んだこともある。
ましてや女子に手を上げるなんて論外で人間の屑だろう。
(別に格好をつけているわけでなく普通にそう思う)

さて今日はどう落としたものかと二つのオチを考えてみた。
どちらか好きなものを選んで欲しい。

その1

ビンタといえば蝶野選手じゃないんだよね。
そう。アントニオ猪木氏なんだよ。
彼が予備校で講演を頼まれたとき、数人の学生を選んで自らに張り手をさせたんだって。
いかに自分が強いか、また学生のやる気を試したのだろうね。
一通り猪木氏が選んだ学生が終わった後、一人の学生が「俺にもやらせて下さい」と名乗りを上げたのだそう。
猪木氏は快諾したんだけど・・・
彼の張り手がきっと猪木氏の予想より効いたようで・・・
次の瞬間、反射的に彼の形相が鬼の様になり、一撃をやり返したのだ!

ビ~~~~~んタ!!!!

山崎さんも蝶野さんにやり返すくらいの気迫が欲しいものだね。
「プロ」なのですからね。お笑いだけど・・・
(まぁ、そのへたれ姿がこれ以上になく笑えるわけだけど)

その2

後日談、大分時間が経過してから知った話だが、ビンタE先生はその後、結婚したんだって。(DV確定?)
うちのクラスの下ネタでからかわれていたO先生の親戚とね。
つまりO先生は体罰容認だったってことだ。
(俺の人生でも指折りのダメ先だから驚かないけど)
でもそれ聞いたときには往復ビンタくらった気分だったぜ!


アントニオ猪木名勝負十番I [DVD]




著者: tossie
居住地域:北関東 年齢:70年代生まれ 趣味:釣り、散策 言葉の由来を調べています。言語学者とか研究家ではありません。 ただの一般人です。記事は仕事の合間に書いてます。 プロフィール詳細 Twitterでフォロー

一言コメントする

メールアドレスは公開されません。

You may use these HTML tags and attributes: <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <s> <strike> <strong>

CAPTCHA


日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)