「オフレコ」 の由来

秘密というのは洩れる為にあるのか、洩らしたい葛藤と戦うためにあるのか。

「これは内緒なんだけど、実はうち二人目ができて・・・まだ二月なんだけど・・」

職場の先輩が嬉しそうに話かけてきた。
客観的に見ると、自分には関係のない話なので(まぁお祝いくらいは持っていくけど)、この場合なんの利害関係もないはずだから、「あんまり大きな声では言えないけれど」程度で考えておけばいい。
わざわざ吹聴してまわる必要もない。

いやでもメデタイ話しだし、たぶん一緒に祝って欲しいのだろうから、どんどんふれ回るべきなのだろうか。
オフレコって言葉があるけど、この場合の扱いはどうなのでしょう。

■「オフレコ」の由来

オフレコとは談話などを公表しないこと、もしくは非公式なものとすること。
ただその成立には条件があるのだそう。
まず第一に、発言者が先にオフレコであることを宣言する。
そして、それに対してその場にいた取材者全員が了承する。
同意ですね。
その二つの条件が満たされた場合のみオフレコは成立するのです。
それっぽくより難しくすると、「契約成立後の発言内容について、口頭約定のみによって完成する秘密保持契約を締結」ということになるのだそう。
なぜこのような表現を持ち出すかというと、「オフレコ」は報道用語からきたものでその由来は、英語の「off the record(記録にとどめないこと)」からなのだそう。
国を左右する発言力のある人物に対して報道が接触する場合、それなりの信頼関係が必要なのは言うまでもない。
もちろん仲介者(記者 メディア)はその仕事で自社をアピールし、発信者(権力者)はメディアを通じて自分の考えを広く伝えてもらい自分の仕事をスムーズに進める。
お互いの勘違いなどは絶対許されないだろうし、仲介者の勝手な考えが国を左右することにもなり得る。
オフレコの程度は、取材時に記者と発言者の間の約束として取り決められる。
日本では名前と発言内容の両方の公表を拒否する完全オフレコと、名前だけを隠して、発言内容は公表出来る匿名報道があるらしい。
お互いの仕事のせめぎあいがこのオフレコの境界線といえるのかもしれない。
オフレコ発言は発言者の了解を得なければ、原則としてオフレコ解除をしてはならないとされている。

しかし昨今の状況下では、その暗黙の了解は失われつつあるのは我々一般人から見ても明らかであるが、様々な事情も見え隠れする。
ある記者は、オフレコ発言であっても時期を置けば公表できるタイミングが長年の取材により政治家との呼吸で分かるという。
自社で報道しなくても週刊誌に情報を流したり、別に取材して同一情報が得られたならば報道できるし、完全オフレコが守られないこともあると認める記者もいる。
他にも、外部へ漏らさないとなっているオフレコ発言が、政治記者によって別の政治家に筒抜けになっているケースもあるとか。
そのような経緯もありつつ・・・大臣のオフレコ発言がマスコミ各社でスクープされ大臣が辞任するケースが増えている。

最近あった問題発言をいくつかあげてみる。

内閣官房長官の福田康夫さん。

強姦について…
「裸のような格好をする女性も悪い」とするオフレコ発言が報じられて、国会質問でも取り上げられる。
自身は答弁でこのオフレコ発言を否定。
それは一理あるけど、人の前に立つ人はもちろんNGな発言なのは私でも分かる。

更に福田康夫さん。非核三原則の見直しについてオフレコで発言。
これは見直しする必要は全くなし。今考えると原発ムラどっぷり発言ともとれる。

最後は話題の小沢一郎さん。

「海部俊樹は馬鹿」「担ぐ神輿は軽くてパーがいい」
馬鹿は不味いけど、そのくらいみんないってるんじゃないかなぁ。
このような事例のもとで、「オフレコ」という言葉自体が死語になっているという現状もあるよう。
「オフレコ」というより、偶然でちゃった本音って感じもするけど。
出されちゃまずいことなら最初から言うなと。約束するなと。そういうことなのでしょうね。

かくして日本の政治家は政治記者に囲まれる「ぶらさがり」すら拒否することとなり、答弁はといえば官僚の作文で済ませ、失言逃れのパペットとなったのでした。
めでたしめでたし。


1年後の3.11―被災地13のオフレコ話 (SAKURA・MOOK 44)


人間―その性質と世界の中の位置





著者: tossie
居住地域:北関東 年齢:70年代生まれ 趣味:釣り、散策 言葉の由来を調べています。言語学者とか研究家ではありません。 ただの一般人です。記事は仕事の合間に書いてます。 プロフィール詳細 Twitterでフォロー

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