「鯔背(いなせ)」 の由来

粋(いき)で男気があり、威勢が良くさっぱりしていること、その容姿や、そのような気風の若者のことを 鯔背(いなせ)というそうです。
皆さんは御存知でしたか?
私もあまり使ったことがありません。

これは江戸日本橋魚河岸の若者の間で流行した髪形に由来するのだそう。
魚のイナ(ボラ)の背中に似ていたことから「鯔背銀杏(いなせいちょう)」と呼ばれる髪型があったのだそうです。
そうしたことから、彼らに憧れてか、一目置いてのことなのか粋で勇み肌の者をいつしか「いなせ」と呼ぶようになったのだそうです。
「行かせる」とか「帰す」といった意味の「いなす(往なす)」の名詞形からきたのではないかとする説もあるそうですが、「いなす」は上方、「いなせ」が江戸言葉であることからその説は信憑性が薄いようです。

では現代の「いなせスタイル」はどんなものかと考えてみると・・・
流行という意味では、茶髪にしたり、ボリュームを出して盛ったり、ピンを付けているような高校生などの髪型でしょうか?
(最近は流行に疎いので間違っていたらすみません)
いや、ボラの背中ならやっぱりモヒカンスタイルですかね。
私は髪型というものに元々興味がないからその判断は難しいところです。
自分のスタイルは髪が伸びるのが早いスケベ体質なので、基本はさっぱりしていること、長持ちすること、整髪料がいらないこと。
いちいち髪型を気にするのが面倒くさいし、保つということが習慣づいていません。
もちろんこれは性格なのでしょうが、考え方は男らしいといえばそうなのかもしれません。

洋服に興味のあった学生時代には両親に「そんなことばかりしてないで、体を鍛えたりスポーツにでも打ち込んでみろ。」と叱られたものでした。
両親の世代の男とはそういうものだったのだろうけど、今は違うんだよとその当時は心で笑っていた気がします。
しかし洋服に興味の薄れてきた最近では、肉の付き方が気になったりもちろん健康も考えて体を鍛えるようになりました。
今になると、当時親の言っていた言葉が理解できたり同じように「最近の若いやつは~」と距離を置いて観察してみたり、先ほど挙げた「若者の先端スタイル」に冷ややかな視線を向けている自分がいます。

私の独断で言わせていただけば、それを「鯔背(いなせ)」とは決して呼びたくないのです。
男らしい潔さと捉えたならば、それは間違いなく坊主頭ではないでしょうか。
私の周りにいる粋と呼べる男気があり、威勢が良くさっぱりしている人。
そのような人物のほとんどが坊主に近い短髪であります。
もちろん坊さんも短髪。
板さんも坊主よりの短髪。
その筋にも坊主は多いですよね。
だからなんだと言われても何の反論はもできませんが、複雑すぎてこんがらかって、無数の選択肢を持つ現代だからこそ、私の「鯔背(いなせ)」な髪型は坊主以外にない気がします。


歌舞伎の名セリフ―粋で鯔背なニッポン語 (カッパ・ブックス)


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著者: tossie
居住地域:北関東 年齢:70年代生まれ 趣味:釣り、散策 言葉の由来を調べています。言語学者とか研究家ではありません。 ただの一般人です。記事は仕事の合間に書いてます。 プロフィール詳細 Twitterでフォロー

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