「とことん」 の由来
自分の言葉でないものは中々受け入れにくく、そのため逆に喉元にひっかかるように気になるので心にも残るものです。
今日は「とことん」を取り上げたいと思います。
この言葉を連呼するのは、とりわけ政治家に多いのではないでしょうか?
他の言葉とセットで考えると、議論を深めてとか、やりぬくとか、責任を持って取り組んでいることをアピールし、更にそれにしっかりと向き合っている姿を強調したいときに用いられるようです。
でも現実はというと・・・いやその答えは皆さんに委ねます。
■「とことん」の由来
「とことん」は日本舞踊からきているといわれています。
「トコトントコトン」という足拍子を意味しているのだそうで、転じて踊りの意味となったようです。
その舞踊の「トコトン」は「床(とこ)」と「トン」という擬音が語源と言われており「とことん」でも擬音であると考えられているようです。
歴史でたどると、十返舎一九著「東海道中膝栗毛」(1802-1822)の中に囃し言葉として「トコトン」の記述がみられます。
このように、元々は囃し言葉や太鼓の音等のニュアンスが強かったのですが、明治元年の「トコトンヤレ節」の流行によってその意味が大きく変わったのでした。
「トコトンヤレ節」は、官軍の東征時に参謀であった品川弥二郎さんが歌詞を手がけた軍歌。
軽快さと威勢の良さが手伝って徐々に慣用的に「とことん」の言葉が遣われるようになり現代のような、「徹底的に」とか「最後まで」といった意味に転じたのでした。
軍国主義で「とことんやれ」でなんとなく想像がつきますが、やはり勢いに任せて突き進めといった印象を強く受けるのでそれほどいい意味でない、徹底的に最後までなのでしょう。
同じように思い出した言葉があります。それは「とんとん拍子」。
こちらもやはり、踊りからきているようで、舞台で師匠の手拍子に合わせて踊るさまからきているようです。
調子よく床を踏む「トントン」という音から「続けざまに進行する」とか「順調に進む」といった意味に転じ、そこに具合や調子を意味する「拍子」がつけられました。
「とんとん拍子」も近世末期から見られる言葉でそれほど古いものではないようです。
現代の使われ方から比べてみると、「とことん」より「とんとん拍子」のほうが軽快で小気味よくポジティブで私になじむ言葉に感じます。
もちろんそれは使う人のイメージによるところが大きいかもしれませんが。
最近のコメント