「アンコール」 の由来
学生の頃、アルバイトでコンサート会場の警備をやっていたことがあります。
確かあれは、イギリスのアイドルグループ、テイクザット(Take That)のライブのお手伝いに行った時のことだったと思います。
予定の曲数を終えて、控え室に下がるメンバー、すると会場からはどこからともなく観客が足踏みをする音。
数千人の足踏みはしだいに膨れ上がり、会場を揺らし、ものすごい爆音を奏でました。
数分後、拍手と共に再び登場するメンバー。
あれがアンコール??私の心に疑問を残してあれからずいぶんと月日が過ぎました。
今日調べてみたいのはこの「アンコール」。
英語に間違いない気がしますが、そこには疑問が自然とでてきます。
コール=呼ぶ、ならアンはそれを否定してしまいます。
呼ばない??呼んでないのに登場するわけには行きません。
語源、由来にそのヒントがあるのでしょうか。
外国ではどのようなものなのかもできれば知りたいです。
「アンコール」の語源・由来
最初から覆されてしまいました。
アンコールはencoreと書き、英語ではなくフランス語なのだそうです。
しかもその意味は「もう一度」。
これは大誤算です。
しかも興味深いデータがあります。
これを「再演の要求」に用いるのは英語圏に多いそうで、当のフランスではというと、「bis(ビス)」という言葉が用いられるそうです。
ビスはラテン語の「二回、もう一回」に由来。
他にもUne autre !(もう一度・もう一曲)と叫ぶ場合もあるそうです。
どーゆーことなのでしょうね。
英語圏でもいつからこの言葉が「再演の要求」に用いられることになったかは不明だそうで、一番古いとされているのは1711年ごろイングランドで発刊されていた、日刊紙「スペクテイター」の中だそうで、「聴衆がある歌に特に喜んだ場合、彼らはいつでもencoreまたはaltro volto と叫び、演奏者は親切にもそれを最初から繰り返すことが習慣となっていると記者は発見した」と書かれているそうです。
後半の部分が気になります。
「親切にも」ということはアンコール要求された曲はすべて最初から二回めを演奏したのでしょうか?しかも「習慣」とあります。これは「当たり前」と解釈できますよね。
現代の「恒例」的「礼儀」的アンコールとは若干異なる気がします。
ちなみにaltra voltoはイタリア語のもう一回といった意味。
でも良く考えるとアンコールはその音楽ごとにスタイルが異なる気がします。
例えばクラシックでは、スタンディングオベーションか喝采の拍手、「ブラボー」といった掛け声であり、例えばオペラにおいてのアンコールとは、「独唱者に対してアリアを再唱してほしい」という特別な意味を持つことなのだそう。
私が冒頭に書いたような、ロック、ポップスなどではアンコールは第二部の訪れであり、「当然・必然」の流れ。
つまりも「もう一度」ではなくもしかしたら「もうちょっと」や「その続きを」なのかもしれない。
これ以上書いても野暮になるので、結論を書くと、「アンコール」という言葉はなんとなく垢抜けない。
手拍子のルーズさ。言葉の微妙な長さ、ダルさ。
これは皆がなんとなく感じていることでしょう。
現在はそれぞれの音楽に合わせて、それぞれのスタイルを確立しているのかもしれません。
アンコールの形がその音楽のスタイル、フォルム、スマートさの表れなのかもしれない。
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