「ビー玉」 の由来
我々の関心を集めないものに対しても、子供の好奇心とは果てしないものである。
暑い夏の日に小学生くらいの子供達の集団が昔懐かしいラムネを購入していた。
その光景に暑さも忘れてしばし見入る。
猛暑の昼下がりで彼らの目的は咽喉を潤すことに間違いのだが彼らがラムネを選んだには他にも理由があった。
それはもちろんビー玉。競争して飲んでいたのにも理由がある。
一刻も早く中身を取り出したいのだ。
一番祭最初に飲み終えた体の大きなタンクトップの男の子が力任せにネジって開けようとする。
どうやらうまくいかなかったようで首を捻る。
次々に飲み終えた子達がそれに続くが一人も中身を勝ち取ることは出来ない。
叩きつけようとしているのを見かねて口出ししてしまった。
開かないのはたぶん回す方向が反対だからではないかと思ったからだ。
最近は触ったことが無かったけど、数年前の花火大会のラムネがそうだった気がした。
だから自信満々、なんなら少しドヤ顔で近寄り、手にとってまわす。
んん・・・ あ ア あ あれ? 開かない。
何度回しても開かない。
彼らが回していた通常開封する方向にも回してみたがびくともしない。
見るに見かねたそのうちの一人が隣で地面に叩き付けた。
パリーンと音をたて、ビー玉だけが数メートル先に転がっていった。
堰を切ったようにそこかしこで音がこだまする。
完全に面目丸つぶれで私はそそくさとその場を後にした。
■「ビー玉」の由来
ビー玉の由来はいくつかあるのだそう。
一つ目はポルトガル語でガラスを意味するビードロから「ビードロ玉」の略でビー玉。
ビードロといえばお土産でもらった事がある。吹くとパコパコと音のなるガラスのおもちゃ。
たしか九州の方からだった気がするけど、きっとオランダの流れなのだろう。
二つ目は「A玉」に対しての「B玉」と呼ばれたというもの。
ラムネビンの栓として使用できるのは直径16.85±0.15mmのものでこの規格に合格したものを「A玉」、規格に合わないものを「B玉」と呼んだというわけ。
規格外で使い物にならないから「B玉」は子供のおもちゃとして転用されたというお話。
最後は、東京多摩地区の方言から広まったという説。
でもビー玉が方言といわれてもいまいちピンとこないのでこの説の信憑性は大変低いものだろう。
ポルトガル語説は確かに有力なのだろうけど、やはり規格外の「B玉」説であってほしいものである。
今の時代、ものづくりにおいてそれほどの誤差は生じないと考えられるので、当時を偲ばせるなんとも風流なストーリー。
今の子供達もなんとか取り出したビー玉で是非新しい遊びでも模索して欲しいものである。
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