「溝(ドブ)」 の由来
この言葉の成り立ちが実に興味深い。ドブ
小川でありながら、水路でありながら、その場所が汚れて異臭を放つようになると人は自然とその場所をドブと呼ぶようになる。
あの汚れというのは科学に汚染された人間が生活するから生まれた環境と思われ本来の地球上には存在しなかった異次元の世界と考えられる。
漢字では「溝」と書くのも実に興味深い。
ただの溝(みぞ)、つまりは深みではない。
ある意味、ドラえもんの四次元ポケットにも通じる深い闇がそこには存在する気がする。
■「溝(ドブ)」の由来
「ドブ」はかなり昔から使われていた言葉であることには間違いない。
その由来は、「土(泥)腐」からきているとか、「泥深」からであろうとか、擬態語、つまり事物の状態や身ぶりなどの感じをいかにもそれらしく音声にたとえて表した語であるといった説が有力と考えられているが、漢字「溝」をみても擬態語説が一番信憑性があるのではないかと私は思う。
「濁醪(どぶろく)」の「どぶ」も同源であるとは、言われてみないと意外に気付かない。
どぶろくとは麹で米を醗酵させた酒のことで、日本酒との違いは醗酵を止めないこと。
酸味が強くすぐには酔いがでてこないが、醗酵途中と言う事もあり徐々に思った以上の効果が現れるため人によっては翌日まで酔うといった深~いお酒。
そういったこともあって、見た目はドロドロでまさに泥。
と、このように書くとやはり擬態語なのではと確信したり。
ドブという表現はその性質上?使い勝手がいいようでそこから派生した言葉がいくつか見られる。
例えば「どぶ板選挙」。
こちらは辞書にもなかなか載らない日本語なので完全にノーマークでした。
しかし、そこにはある意味差別的な意味も含まれているよう。
候補者がどぶ板をわたって一軒、一軒訪問して回る地道な選挙戦法をこのように呼ぶわけだがこれはすべての有権者を回るという別段悪い意味ではないはず。
しかし、すべての国民は平等と言いながら政治家=特権階級的な見方がそこには含まれており社会的身分の低く見える家庭までまわってでも選挙を勝ちたいといった意味が含まれているのは間違いない。
いつから、誰が最初にこのような言葉を言ったのか、詳細は明らかではない。
しかし、一般家庭をドブとよぶ政治家の存在する日本には未来はないだろう。
郷土料理には、どぶ汁というものがある。
茨城県や福島県南部の太平洋沿岸地域に伝わる漁師料理らしい。
「アンコウ」を用いるこの料理の由来はいくつかある。
あん肝から出る肝油でスープがオレンジ色ににごり、酒のどぶろくの様に見えることからであるとかアンコウの全てを使う事から、「全て」という意味をもつ「どぶ」からきたといった説がそれ。
ここで興味深いのが、ドブに「全て」の意味があるということ。
アンコウといえば、そのグロテスクさが特徴的な深海魚。
その姿を実際に見ると食すのが憚られるような見た目を持つ。
そういったものの「全て」なのか、単純に尻尾から骨までを全てなのかはわからないが兎に角、ドブには全ての意味があるらしい。そう考えると前述のどぶ板選挙にもある意味納得させられる。
ただ、ドブから生まれた言葉に「全て」の意味があるだけで、本来の「ドブ」そのものに「全て」の解釈をつけるのは少し違う気がする。
しかし、「どぶろく」などは、まさに生成された全てと言えなくもないし、「どぶ」を口にしているのも事実である。
つまり、我々のよぶ「ドブ」もそれほど汚くはないということなのだろうか?
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