「はける(捌ける)」 の由来
「はける(捌ける)」 の由来についてまとめたエッセイです。由来だけ手っ取り早く知りたい人は下のほうまで飛ばして読んでね。
授賞式の一コマ。
賞をいただき身の置き場を気にする受賞者に、司会の女性が放った一言は、「では はけてくださ~い。」
笑顔で何の悪気もなかったのだろうけど、私は少し違和感を感じたものだ。
■「はける」の由来
はける、はける、はける・・・
「はける」とは、舞台上から登場人物(俳優)や道具類が袖に消えることを意味する。
そういったことから考えれば上記のような場合での使用は適切なのかもしれない。
逆に舞台に登場することは「出る」と言い、合わせて「出ハケ」と言うことからもそれほど目くじらをたてるようなことでもないのだろうか。
ただ注意すべきはこれは業界用語であり、舞台用語。
やはり公の場では不釣り合いな気がしてならない。
この「はける」は漢字で書くと「捌ける」となるのだそうだ。
捌ける・・・意味は、 水などがとどこおらずに流れること、 また品物などがよく売れることやさばけること。
どちらも物に対して用いられるもので、もし自分が言われたならあまり心地よくはない気がする。
商品に関しては「売り捌く(さばく)」と解釈すれば厄介払いのような意味も感じてしまう。
ただ、ここで舞台用語として「はける」をフォローするなら、道具を片付けることを「わらう」と呼ぶ業界用語もあるのだそうだ。
「わらう」も「はける」もほとんど同じ意味であるのだが、「わらう」は道具を対象にしたものである点が興味深い。
ちゃんと使い分けしていたのである。
普通に考えると「笑う」のは人の仕草で、「捌く」のは物である。
それが逆に使われているのがやはり「ギョウカイ用語」というべきか。
実は「はける」は「ハケ」から来ているのかと私は考えていた。
あのペンキを塗ったりする、筆より幅広の木やプラスチックなどでできた柄の先端に多数の毛を取り付けたあれである。
ところがこちらのハケには「刷毛(はけ)」という漢字が存在することが判明した。
でもどうやらルーツは異なるようだ。
「ハケで払うように袖に逃げて」とゲストが言われたのならやはり心地は良くないだろう。
だから私は嫌悪感を示したのである。
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