「阿婆擦れ(あばずれ)」 の由来
無知とは恐ろしいものです。
若いとは恐ろしいものです。
私は表面上はおとなしく優等生風でした。
見た目もかわいらしく、先生受けもよかったほうです。
昔はね。
確かあれは中学校一年の時。担任が産休に入り代わりに若い女の先生がやってきました。
案の定、中二病寸前の我々は授業を聞く気がなく、わいわいがやがや動物園状態。
最前列の私は先生が少し可哀想になって真面目に聞くふりをしてあげました。
手を挙げて、うなずいて、共感して笑って、適当に演じる自分に酔うたちの悪い中一。
そんなある日、いつものように手をあげてあげたら、その発言を先生に思いっきり否定されてどこかでブチって切れる音がした。
瞬間、私の口からでたのは「このあばずれ!」
今考えると、なんて恐ろしいことでしょう。その意味を若干勘違いしていたと、ちょっと言い訳。
ほら、あれです。小さい子供が覚えたての言葉を意味もなく使いたがるあれ。
本当ですよ。狙ってそんなこといえません。
先生はというと・・・泣いて職員室に帰ってしまいましたとさ。
その日からというもの私は動物園のオリの中に帰りましたとさ。
■「阿婆擦れ(あばずれ)」の由来
あばずれなんてそれ以来口にしていないし、本当の意味も調べたことなんてなかった。
あばずれとは、人擦れして品行が悪く、厚かましい人(女性)のこと。
なんだか意外。実はもっと悪い意味だと思っていた。
江戸時代の流行語だったそうで、当時は男性に対しても使われていたという。
現代では「あばずれ女」というようにその多くが女性のことをさして使われる。
その意味も広くなり、常識がない人を罵る場合もあれば言葉使いや態度が悪い、格好に品がないといった程度のものから性的に乱れている者、つまりは淫売といった意味まで使う人の感覚や会話の流れによってその程度は変化するという。
あばずれの「あば」とは、「暴れ者」「暴くれ者」といった乱暴者の意味の「あば」からか、軽率な者を意味する「あばけ者」の「あば」から来たと言われ、そこに世間擦れする意味の「擦る」の連用形「擦れ」がついた語とされている。
浮ついた様子を意味する「淡(あわ)し」が重なり「あわあわし」に変化し、人に揉まれてずる賢くなった人を「あわすれる」と呼ぶようになり、そこからあばずれが生まれたという説もあるらしいが俗説程度らしい。
使う人によりその意味が変化する。
使いやすいようで使いにくい。
どのみち相手を罵るような使い方が多いから、用いないことに越したことはないんだな。
とは、古き日の過ちからの教訓か。
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