「チャペル」 の由来

結婚式に参列しました。
私にはクリスチャンでもないのにチャペルで挙式することがあまり理解できません。
それでも現代人的感覚も持ち合わせているので、あのオシャレな雰囲気でスタートをきりたいという気持ちは理解できなくもありません。
しかし、慣れというものはおそろしいもので、何度も参列すると当然比較してしまうものです。
もちろん生伴奏、生歌といったものはすばらしく、規模などは違えどそれなりにどこも評価できます。
ホールも音響を考慮して作られていますよね。
今回も都内と言うことでそれなりの期待を胸に行ったわけですが、若干がっかりさせられました。
控え室の豪華さに比べるとホールは若干物足りなく、式の途中でブラインドが上がり、木漏れ日で演出するはずが・・生憎の悪天候で魅力は半減。
パルプオルガン位は・・と思ったらグランドより見劣りする程度のピアノ。
バージンロードに飾られた花と蝋燭にはそれなりの魅力を感じましたが、近くによるとすかさず係員がよってきて、「お気をつけください」とピシャットやられてしまった。
カメラを出すと目ざとくとんできて「厳粛をきっすためお写真はご遠慮ください。」と注意されてしまいました。
神父さんは長身で若く、髭を蓄えてウエーブのかかったロングヘア。
神々しいより申し訳ないが不潔のほうで、後列の女性グループなど失笑していたものです。
(よくよく考えればイエスのお姿といえなくもないのかもしれないと今は思う)
兎にも角にも式は始まったが、「お抱えのカメラマン」のシャッター音が耳障りな時間でありました。
新郎新婦が「厳粛のうち」に退場すると、すかさず再入場。
二階から全員の集合写真を撮るという。先ほどまで「主役の為のお立ち台」は集合写真の為の「都合のいい段差」に変わった。
どうにもこうにもこのシステムや「神聖」が理解できないので今日は是非「チャペル」について調べてみたいと思います。

チャペルの由来

チャペルという語の由来は、トゥールという都市のマルティヌスという人物の故事にちなんでいるそうです。
マルティヌスSt. Martin of Tours(316年頃-397年)はトゥール司教でキリスト教の聖人でもあります。
はじめはローマ軍人でありましたが、キリスト教に改宗して修道者となりました。
殉教者ではないものが聖人として初めて認められたのが、この人マルティヌスであります。
ある冬、彼が兵役についていたときに貧しい兵士(一説にこじき)に、自分の外套(がいとうと読む 防寒等のために特に着る外衣のこと)を半分に切って、その者に与えたそうです。
その夜、マルティヌス夢にイエス・キリストが現れるのでした。
そして目覚めると、なんと半分に切ったはずの外套は元通りになっていたというのです。
この「小さな外套」をラテン語で「カペラ」 (capella)と呼んだことから、この聖なる外套を保存する建物もカペラと呼ぶようになり、
更に後に英語のチャペルとなったのでした。
建物の呼び名が防寒コートからきたとは驚きですね。
ちなみに音楽に関係するア・カペラもこの建物に由来しているそうです。
確かに楽器の伴奏を伴わない合唱曲はチャペルによくみられますよね。
映画「天使にラブソングを」を思い出します。
ラテン語で「カペラ」から英語の「チャペル」なので本来は「ア・チャペル」?
そして私の疑問の答えが見つかりました。
「多くの場合、チャペルは自教会を離れて滞在する寄留者のための礼拝施設(=ハコモノ)であり、教会(=教会員制組織)ではない。」ということだそうです。
つまり「教会の所有ではない礼拝堂」ということです。
更に更に意外な真実を発見しました。

チャペル専属の教職者を「チャプレン」というそうなんです。
ちょっとチャップリンに似ていますね。全然関係ないけど。
「チャプレン」とは、施設に設置されたチャペル(chapel) で働く聖職者を意味するそうですが、実際にその基準は曖昧なようです。
日本のチャペルは(宗教法人としての)教会ではない場合が多く、プロテスタントのチャプレンは、その資格があっても職務は牧師ではないということがわかりました。
つまり日本では「なんちゃって」となるわけですが、殉教者ではないものが聖人として初めて認められたというマルティヌスさんへの緩和策を考えれば「チャペル」も入門希望者のための気軽な場所と考えることができ、理解できなくもありませんね。
そういった意味では由来の意志が未だに引き継がれているのかもしれません。




著者: tossie
居住地域:北関東 年齢:70年代生まれ 趣味:釣り、散策 言葉の由来を調べています。言語学者とか研究家ではありません。 ただの一般人です。記事は仕事の合間に書いてます。 プロフィール詳細 Twitterでフォロー

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