KURE 5-56 (クレ5-56)
ギギギギギギィ
ドアを開けた時に軋む音がするんです。
我が家は築20年以上。床も軋めばサッシも歪み風が吹くと立て付けの悪いドアは古い自転車のブレーキのように爪でひっかいた黒板の音同様の不快な音をたててまるで幽霊が通ったかのように不気味に開くのです。
「あの音なんとかして。」
私に委ねられたはずのこのミッションは、広大な敷地面積のホームセンターで適材を買ってくるという探し物の苦手な私にとって腰の重たくなるミッションであったのは間違いない。
それにしてもあれからどのくらい時間が経ったであろう。
寒くて暖房を焚いていた部屋がいつの間にかムシムシして梅雨を迎え熱帯夜と呼ばれる日が何日か経過した。
暑いときにあの音を聞くとなおさら暑くなり、それを超えるとだんだんイライラしてくる。
音だけでこんなにも心を乱されることに気付き始めて手動のカキ氷機を買いに行くという目的ができたことがそれを後押ししてようやく私はかの地、ホームセンターに足を向けた。
出会い
いくつかのコーナーを見てまわり、工具コーナーの端っこでなんとなく見たことのあるスプレー容器をみつけた。
説明書き
使用すると金属表面に薄い皮膜を作り、潤滑効果、防錆効果を生む。
また固着したネジなどの微細な隙間に浸透して古い油脂を溶かし、緩めやすくする。
ああ これだこれだ。きっとこれだ。
ホームセンターで苦戦が予想されたので、予め友人にメールで相談してあった。
赤い容器で黒いキャップ。
名前はKURE 5-56(クレ ごーごーろく)
皆さんももちろんご存知であろう。(と知ったかぶり)
実は私は名前を聞いたことはあったが、買うのも使うのもこれが初めて。
由来
KURE 5-56(クレ ごーごーろく)はその頭文字の通り「呉工業」が製造販売している浸透潤滑剤であります。
ですが、実は5-56は呉工業の商品ではなく、提携しているアメリカの自動車関係および生活関連用品のメーカーであるCRCインダストリーの商品であり、呉工業が1962年10月に導入したものなのだそうです。
ということで、「5-56」はアメリカの本家に由来します。
それはずばり、「住所」なのだそうです。
製造元のアメリカ・CRCインダストリー社がスプレー式の潤滑剤を開発して発売するにあたって、その当時の会社の所在地「1-16番地」を取って、「CRC1-16」と名づけたのが名前のはじまりなのだそう。
誰が考えたのか・・
それ以来新製品が出るたびに2-26、3-36、4-46と数字が増え、そして本日の主役「5番目の製品」5-56が日本に輸入されてブレイクしたってことなんだって。
驚きの由来は住所から来たでした。
まぁ日本語だと56は「五郎」みたいだし馴染みやすい。
きっとこれもブレイクに貢献したに違いない。
実践
早速買って帰ると今までの怨みつらみストレスイライラを晴らすかのように蝶つがい二つに五秒ぐらいずつ噴射。
「くさいくさい くさ~い」思わぬ落とし穴だけど、これであの音が無くなるのなら安いものである。
二、三回行き来させるとすっかりギギギ団は跡形もなくいなくなった。
すっきりした。
ところで少し冷静になって考えて見るとこの一番だけにこれだけの代物を買ってしまったことに若干後悔しだしたから、他にも何か用途はないかと注意書きを読んでみる。
興味深い一節を見つけた。
「有機溶剤の割合が高く、蒸発残留分は非常に少ないので長続きする潤滑効果は期待できない。」だって。
つまりこのドア専属の修理屋に、「5-56」が就任したってことなんだね。
これからも宜しくね。
ついでに「6-56」があるなら是非使ってみたい。
てゆーか友達に自慢したいね。
「5-56」よりキ・ク・ゼって。
飛べるよってね。
五爪の龍 - 2016年10月7日, 10:13 PM
「6-56」はありませんが「6-66」はありますよ
用途は「5-56」とほぼ一緒ですが
「marine formula」の記載があり
よりさびやすい塩水のかかる釣り具などにも使えるので
もっぱらこれを愛用しています
価格はだいぶ高めですが・・・
Pancho - 2018年3月17日, 8:33 PM
本国CRCには6-56もありますよ。6-66は「キリスト教圏では不吉」ということで、6番目の海水に強い船舶用防錆剤は6-56という商標です。KUREでは同様の製品を6-66として現在も販売しています。