「パラリンピック」 の由来

どのオリンピックからだろう?
ロサンゼルス?ソウル?バンクーバー?シドニー?アテネ?北京?
思い起こしてみると、私の短い人生でもずいぶんたくさんの感動のドラマを見届けてきたんだなと改めて痛感する。
一番の思い出はソウルのベンジョンソンとカールルイスかな。
もちろんロンドンの100メートルの主役はジャマイカのボイルで、私があげた二人の戦いは、タイムこそコンマ何秒かだろうけど、今、ボイルと並んで走ったらメートルくらいの差があるのかもしれない。
当時の最高、人類史上最高も100メートルというほんの僅かな差で決着する競技でもわずか20年ほどでもこれだけ記録が縮まるのだから、
人間は進化できるのだと改めて感心させられる。

と、感傷に浸っている場合ではない。冒頭の「どのオリンピックからだろう?」は今話したオリンピックのことではなく、「パラリンピック」のことである。
一番熱狂してオリンピックを見ていたときに、閉会してすぐに行われる「もう一つのオリンピック」に驚いたものだ。

■「パラリンピック」の由来

パラリンピックの名前の由来は、大会に参加する選手が、足(下半身)に麻痺がある人であったことからきているとされている。
下半身の麻痺を意味するパラプレジア(Paraplegia下半身不随)とオリンピック(Olympic)を組み合わせてパラリンピック(Paralympic)となり、後にIOCもそう名乗ることに同意したのだそう。

しかし1985年以降になると、半身不随以外の身体障害者も大会に参加することから「parallel(平行)」と「Oiympic(オリンピック)」で「もう一つのオリンピック」と解釈されるようになったと言います。
確かに障害という言葉を外すという考え方には賛成です。
平行という日本語解釈だとおかしく感じますが、この場合は同時にとか一緒に開催されるという解釈にすれば理解しやすいことでしょう。

始まりは1948年のイギリス。ロンドンオリンピックの開会式と同じ日に(1948年7月28日)王立ストーク・マンデビル病院の院内でスポーツ大会が開催されたことからです。
ドイツから亡命したユダヤ系医師であるルードウィッヒ・グッドマン博士が、第二次世界大戦でにおける脊髄損傷患者の治療や訓練の一環としてスポーツを取り入れたことがきっかけなのだそう。

1952年には国際大会にまで発展し、1960年のローマ大会以降オリンピックと「平行して」同じ開催国で行われるようになりました。
第一回大会はこのローマ大会であると位置づけされていますが、大会の名称として「パラリンピックス」が使用されたのは1988年のソウルからだそうです。
更に夏季オリンピックと共同の開催組織委員会が運営するようになったのは、2004年のアテネ大会からとなります。

オリンピックと違いパラリンピックには障害の度合いに応じた階級が存在します。
障害に度合いを設けないと確かに不公平になりますからね。
たとえば、肢体などの障害の場合は「LW」や「LC」等の競技ごとの記号+度合いを数字で表します。
障害種は「運動機能障害」「脳性麻痺」「切断など」「視覚障害」があり、現在は聴覚障害者・知的障害者・精神障害者もパラリンピックには出場ができるのだそう。

ただここにも問題があって、障害を偽装するケースもみられるのだそう。
バスケットボール知的障害クラス金メダルのチームに障害者を装った健常者がいた事もあったのだそう。
もちろん健常者よりも競技レベルは落ちるのでメダルがとり易いという現実もそこに拍車をかけているのでしょう。
パラリンピックでもメダルを取れるかどうかで注目度が全く違うことから、スポンサーの問題や、報奨金などにも関係してきます。
それでもやはり、スポーツマンシップに則り正々堂々競技して欲しいものですね。

正直私は、パラリンピックは否定しませんが、あまりにも注目されすぎることには多少疑問を持っていました。
ですが今回、第二次世界大戦で負傷した人々もリハビリから始まったスポーツであるという点に大変、共感と興味を持ちました。
健全に争うというスポーツの力で、いつかは戦争や内紛も無くなって欲しいものです。
確かにサッカーの日韓の三位決定戦のようにオリンピックに政治を持ち込むのはいかがなものかと思われますが、因縁のある国どうしであったなら、否が応でもその心境は生まれてくるものです。

しかし、そこで正々堂々戦って持てる力を十分に発揮して、最後に選手同士が笑顔で握手を交わせたら、世界はもっと平和になる気がします。
そういったことに貢献できるなら、パラリンピックがより素晴らしいものになるかもしれません。
そして今年の舞台は発祥の地ロンドン。新たな歴史が生まれることに大いに期待です。


身体障がい者スポーツ完全ガイド―パラリンピアンからのメッセージ


パラリンピックがくれた贈り物





著者: tossie
居住地域:北関東 年齢:70年代生まれ 趣味:釣り、散策 言葉の由来を調べています。言語学者とか研究家ではありません。 ただの一般人です。記事は仕事の合間に書いてます。 プロフィール詳細 Twitterでフォロー

1コメント

  1. ウンチ - 2014年1月28日, 10:08 AM Reply

    すげー

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