「虫の息」 の由来

従兄弟の子供に無理やり連れ出されて虫取りに出かけました。
実は私、その道の権威でして・・・
小学校の頃には肩を並べるものがいないほどの虫取りエキスパート。
範囲も広く、クワガタ、カブトムシからヘビやトカゲに至るまで持ち前の優れた身体能力と反射神経を持って捕まえられない昆虫、動物はなしと周りが認めるほどの能力の持ち主でした。
もちろん大人になって一部屋ヘビを飼ったり、ホームセンターの昆虫コーナーに絶えず出入りするといったマニア性は持ち合わせていないので静かに平穏な日々を送っていたのですが、それを目の当たりにしていた従兄弟の口から情報がその子供の耳に入りせっかくの休日が虫取りに・・とほほほほ。

しかもそこはホームグランド(自宅の近く)ではないので土地勘も無く一時間ほど彷徨う始末。
ようやく何かいそうな雑木林を併せ持った公園を見つけました。
とはいえ季節は初夏。まだ虫も冬眠からあけるかあけないか、さなぎもまだ成虫には程遠い季節。
不安は的中し、数時間彷徨ってようやくトカゲを見かけた程度、諦めたそのとき・・・
地面に赤黒く光る物体が・・・・

見つけました。
まだ大アゴ(ノコギリの部分)が成長しきっていないノコギリクワガタの子供!
やった~もつかの間。丸まってしまっていて死にかけ。
しかし不思議なものです。天候も特に変化も無く、外敵にやられた気配も無い。
死にかけているにしても蟻もたかることなく、ほんの微かに動いている。
「該者がおかしい。こりゃ殺しでしょうかい兄貴?」二時間ドラマならそんな声も聞こえてきそうな状況なわけ。
まぁ自分のような専門家だからそのようなことを考えるわけです。
しかし問題は子供をどう納得させて早く岐路に着くか・・・・
甥っ子は最初は嬉しそうにしてましたが、だんだんとあまり動かないという現実を受け入れられず
カゴに放り込むも、首を捻って不思議そうに眺めています。
どうするどうするどうするどうする・・・・ そうだ!

「これぞまさに 虫の息 なんちって~。」
甥っ子は更に首を捻って遠くへいってしまったとさ。
めでたしめでたし??

でも大人的にはそのおじんギャグを更に深く考察してみたいというもの。
虫の息ってどういう状況から生まれた言葉なのでしょう。
今にも死にそうなくらい、かすかな息 のことを虫の息と言います。
これは特定の虫からきた言葉ではなく、*小さな虫のようなかすかな息*という意味のようです。
つまり虫の息とは、昆虫ほどの呼吸量しかできないほど弱っている状況と考えられます。
大怪我をして倒れているといった状態の人がどうみても「もう死にそう」な状況であることをリアルに表現した言葉として用いられるようになったのだそうです。

虫の命なんてといわず、命はすべて大切にして欲しいと説明して甥っ子との昆虫採取を終えました。
結果はトカゲ、カタツムリそして瀕死のクワガタ。
ただなんとなく、虫の息が命の大きさを軽んじているように思えてもう使うまいと思った。




著者: tossie
居住地域:北関東 年齢:70年代生まれ 趣味:釣り、散策 言葉の由来を調べています。言語学者とか研究家ではありません。 ただの一般人です。記事は仕事の合間に書いてます。 プロフィール詳細 Twitterでフォロー

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