「目安」 の由来
目安とは、おおよその基準や見当。目印、目当て、目標などのこと。
目安は、形容詞「めやすし」の語幹が名詞になった語なのだそうです。
「めやすし」は「目(め)」と「安し(やすし)」で構成されていて見ていて安心していられるという意味。
平安時代には「見苦しくない」「見やすい」の意味で用いられたと言います。
それが鎌倉時代になると、そろばんの位どりの印や秤の目盛りといった、見てすぐわかるものを目安と呼ぶようになり、目当てや基準といった意味でも用いられるようになります。
現代の「目安」の用法に近づいたわけですね。
更に更に室町時代になると読みやすく箇条書きした文書や訴状のことも言うようになり、そこから訴状一般を指すようになったと言います。
さてそこで気になるのは・・・目安といえば!徳川吉宗の目安箱。
目安箱(めやすばこ)とは庶民の進言の投書を集めるために設置した箱、またその制度そのものの事。
政治や経済から日常の問題まで、町人や百姓といった普段意見を言えないひとの要望や不満を直訴させるために設けられました。
毎月2日、11日、21日の月3回設置され、回収された投書は将軍自ら検分するという徹底ぶり。
今で言えば・・・そうですね。
内閣総理大臣に直談判するようなものです。
士農工商の平等でない時代にそれをやってのけたのだから・・・
やはり吉宗さんはすごい!
その「目安箱」という言葉がどこからきているかというと、目安の持つ「訴状」という意味から名づけられたというのが本当のところのようです。
目安箱が政治の指針となったことから、見通しや基準といった意味に解釈、つまり「目安」の由来が「目安箱」からきたと考える説もあるようですがこれは誤り。
でもここまでを見てくると関係は無きにしも非ずですね。
時代によって目安の意味が変わってきたという事実を知ると。
でも例えば現代に置き換えてこのような箱を設置したならどうなることでしょう。
ご近所のトラブルや職場の愚痴、自分勝手なわがままなどが山積される気がしてなりません。
それを基準、つまり目安として憲法を改正しようなんて動きがもし出たら・・・
きっとまとまるものもまとまりませんね。
人々が平等に暮らす今でも個人の不満が多いというのに、身分制度のあった時代はどのような投書があったのかは非常に興味が沸きます。
また、もし自分が将軍であったならそのような面倒な制度に着手できますか?
やはり吉宗さんはすごい!
世間知らずだったからちょいと下々の生活が覗いてみたかっただけ・・・
なんてことはないですよね?苦笑
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