「大統領(だいとうりょう)」 の由来
お隣の国でとんでもない事故が起きた。
事故が起きた原因もとんでもなかったが、それ以上に事故後の対応の不味さが取り上げられた。
助かったはずの命が人為的に失われたのだ。
いくらなんでもひどすぎる、なんとなならなかったものだろうか。
間違っても同じ事故が起きないように徹底した検証を進めるべきである。
しかし次々に目を疑うような事実が沸き起こってくる。
救助の現場だけでなく、無責任な船の乗組員だけでなく指揮系統や官僚、政治家に至るまで、その対応に誠意を感じない。
怒り狂う遺族たち。挙句の果てに葬儀の席でのやらせ疑惑まで浮上している。
速報で総理の辞任が発表された。
とうとうあの女性が辞める時が来たのか・・・テレビに目をやると見知らぬ男性の姿。
??んん?
そうでした。韓国は大統領制でした。
でもなぜ・・・ナンバー2が辞めてナンバー1がそのままなのだろうか?
謎の多い国である。
■「大統領(だいとうりょう)」の由来
大統領(だいとうりょう、中国では総統)とは、英語のPresidentのこと。
大統領とはそれをどう訳すかという問題になるわけ。
その選出方法が日本とは異なるというのが、その地位の違いでもある。
その多くは国民の選挙によって選出されるわけで、ある意味では直接民意が反映されるわけだ。
ただイタリアのように議会から選出される場合もあることは付け加えておく。
ではその英語の presidentはどのような意味を持つかというと、その由来はラテン語の動詞からで「前に座る」とか「主宰する」といった意味。
元は「議長」の意味で用いられていたが、徐々に大学の総長や共和国の元首その他様々な団体の長の役職名として用いられるようになる。
どこぞのメーカーの車の名前とかね。
それを一躍有名にしたのがアメリカ合衆国の建国時。
1787年の憲法起草時に「アメリカ合衆国大統領」という職名として「President」という語が初めて採用されたのだ。
国家元首の呼称として権威的な響きのない語を探すうちに決まったのだとか。
つまり今までにないニューリーダーをアピールしたかったのだろう。
それからはヨーロッパ系の諸共和国においても、それにならって同じような呼称となっていった。
「大統領」は英語の「President(プレジデント)」を日本語に訳したものであるわけだがそのきっかけは、皆さんご存知の1853年(嘉永6年)かのペリー提督の来航であったという。
フィルモア大統領の親書を受け取った幕府の役人たちは「President」をどう訳すかで頭を抱えたのだという。
鎖国中であった日本は海外の情報が制限されていたため理解できなかったのだ。
時代も士農工商の階級制。選挙で選ばれるといった発想そのものがない。
とりあえずPresidentは国王という訳におさまったわけだがフィルモア大統領の経歴について調べるうちに、その出が町人であるという事実に気付く。
町人が国王って不味くないか・・・ 議論は暗礁に乗り上げて…
では町人のなかで一番偉いのは誰だろうという話になるとやれ頭だ、やれ親方だ、いや旦那だなんて意見が出るが最終的に残ったのはなんと「棟梁」。
これが「大統領」の語源となったという説が今のところ有力なようだ。
確かに江戸時代の大工といったらその地位は相当なものだったと聞く。
ただ逆に、建てた家に万一のことがあったらそれなりの責任を取らされるのである。
もちろん他国のトップに対して「大工のかしら」とそのまま呼ぶわけにはいかない。
「棟梁」の漢字を「統領」に置き換え、「大」をのってけたというわけ。
そのように決まった「大統領」だけにすぐに定着するわけはない。
幕末から明治にかけての書物では「President」にはさまざまな表記があるらしい。
この「大統領」という訳語を世間に定着させた功労者がいるというから紹介しよう。
それは歌舞伎役者の二代目市川左団次さん。
「いよっ、大統領!」
少し前の世代には認知度の高いこの言葉、実は米国に留学したり、ソ連で公演を行ったりして海外交流に努めていた左団次さんに向けて発せられたのが今に残っているのだとか。
ファンたちは親しみを込めて「大統領!」と声をかける。
これがきっかけで大統領という言葉が大衆にも広く溶け込んでいったのだ。
さて船の沈没に話を戻すが、これを家の倒壊に置き換え日本語独特の棟梁から生まれた大統領の責任問題に発展させる。
その心は・・・
あえてここでは書かない。
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