「何食わぬ顔」 の由来
嘘がつけないとは損な性格だ。
社交辞令も苦手、本音と建前の使い分けもできない。
つまりバカ正直ってやつだ。
親戚一同が集まってお金の話なんかになると、うちのは母は決まって貧乏くじを引く。
自ら進んでだ。
数百円、まぁ数千円くらいまでなら切り捨てればいいものをキレイに等分する。
自分が多く働き、身銭を切っていてもそれを計上しない。
なんて愚かなものだ、と傍から見ていたつもりだが、友達と会った時などの自分の姿を思い起こすと苦虫を潰したような顔になる。
同じことをしているじゃないか!
まぁそれでも、嘘をつくくらいならつかれるほうがいい。
人を騙すくらいなら騙されたほうがいい。
そうして我が家では、血と共に代々引き継がれてゆくのだろう。
バカ正直ってやつが。
■「何食わぬ顔」の由来
何食わぬ顔ってやつが苦手だ。
話は相手の目を見て聞く。電話は相手の表情が見えないから苦手。
誠心誠意で話をしていたなら、何食わぬ顔なんてできるはずがない。
食わぬ(なにくわぬ)とは、実際には食べたのに食べていないようなという意味。
そこから、自分のしたことや思っていることが人に知られては困るときに注意を逸らすために平然と振舞うことを言う。
口がモゴモゴしていても食べていない!の一点張り。
そんなことはないのだろうけど、私だったら口の周りや歯に痕跡はのこっちゃいないか、話す息にニラやラッキョウの臭いが混じってやしないかハラハラドキドキで間違いない。
脂汗に目は泳ぎ相手を直視できない。
息は荒く口調は早く、体も必要以上に動かして話すことだろう。
早くそこから立ち去りたい。楽になりたい。真実を告げたい・・・
でも逆に、嘘が必要となったら肝が据わる。
何食わぬ顔で誰もつけないような嘘をつくだろう。
平気な顔で冷静に慎重に言葉を選んで。
相手が納得するまで突き通す。
迷いはない。
真っ直ぐが嫌いなわけじゃない。
ただ自分に正直でいたいだけなんだ。
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