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「金木犀(キンモクセイ)」の由来
人間は、その時の記憶を五感を持ってして体に刻み込むものである。
その映像を、その音を、その時の触感を、その時食べた物を、そしてその時の匂いを。
私は残念ながら鼻がよくない。
不便も多いのだが、それ以上に無念さを感じることの方が残念だ。
記憶力が乏しいのもこの事が起因しているのかもしれない。
「金木犀の花の匂いが今日のことを忘れさせないでしょう。」
友人の死が我々に不幸を与えた。
突然の訪れとその鮮烈な記憶は、私の記憶にも負の印象しかもたらさない。
当然と言えば当然なのだが、私は死という悲しみも残された者が前を向くメッセージであってほしいと願う。
もちろん、自分の最後も笑顔で送ってもらって結構。
だからこの挨拶で締めくくった友人代表の心が近く感じる。
「金木犀(キンモクセイ)」の由来
金木犀(キンモクセイ)は中国原産の常緑性樹木で秋に小さなオレンジ色の小花を咲かせる。
一番の特長はやはりこの花の放つ心地よい香。
雄株は雌しべを持っているものの、その機能が不完全なため実はつけないのだという。
日本でキンモクセイやギンモクセイの果実を見ないのは、植えられている物の殆どが雄株だかららしい。
その名前の由来は、樹皮の様子がサイ(犀)の皮膚に似ている事と、金色の花を咲かせることから。
ちなみに、原産国中国では丹桂・金桂・桂花と呼ばれているのだとか。
金木犀(キンモクセイ)はギンモクセイ(銀木犀)の変種であるウスギモクセイ(薄黄木犀)の、そのまた変種と言われているそう。少しややこしいお話。
キンモクセイの創出は自然による突然変異なのかそれとも交配や選別による人為的な改良が加えられた結果なのか…
事実はハッキリとはしないらしい。
学名はオスマンツス・フラグランス・オウランティアクスと、これまたややこしい。
オスマンツスはギリシア語のオスメ(香り)とアンサス(花)からなる。
つまり香りのする花という意味。
フラグランスは「良い香りのする」であるのは何となく解る。
変種名のオウランティアクスは「橙黄色の」
やはりどこの国でもいい香りのする木という認識で間違いなさそうだ。
この香りを嗅ぐと思い出す。
彼の眼差しを、この季節を、今という時を。
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