「鴫焼き(しぎ焼き)」 の由来

夏野菜、茄子は一個10円、とうもろこしはというと一本150円。
なぜだか知っていますか?
答えは簡単なことで、茄子は木一本で何十個もなりますが、とうもろこしは一本で多くても二本程度しか収穫しないからだそうです。
もちろんもう何本かくらいならならせることはできるかもしれませんが、その分甘みが減ってしまいます。
製品としてはやはり1、2本が限界。

一方、茄子はというと早ければ初夏から収穫ができ、「秋茄子は嫁に食わすな」というくらいに、長い期間収穫が可能でしかも遅いほうが味がいいというわけです。

そんな二つを比べるのはナンセンスかもしれませんが、もし同じ広さの土地があったなら、あなたならどちらを植えますか。
好みの問題なら結論は簡単なことでしょう。好きなほうを好きなだけ植えればいい。
しかし、効率や経済を考えたなら非常に迷います。
茄子はそれほど手間がかかりません。もちろん草取りは必要です。
とうもろこしは手間がかかります。
素人の私では(植えて放置)食べられる製品ができませんでした。
しかも一発必中でなければいけません。
替えがないので必ず製品にしなければなりません。
そこで考えました。
一個10円の茄子を栽培して、加工して一つ100円で売れないものか。

■「しぎ焼き」とは

ところがそう簡単ではありません。
とうもろこしなら、今は生で食べられる品種があったりちょっと茹でただけで、少し焼いただけで飽きることなく食べられます。

しかし、茄子は違います。
毎日食べる気などしないし、単品で美味しく食べるのも不可能パサパサで油もよく吸うので調理法も限られてきます。
何か美味しい食べ方はないかと料理の上手な友人聞いたら「茄子はやっぱりしぎ焼きだろ。」と言われました。

しぎ焼き????

茄子のしぎ焼きとは、茄子を半分位に切って油で揚げるかもしくは油をしいて香ばしく焼いた料理のこと。
そして鍋に味噌とみりん、砂糖を入れてお水またはだしでのばし弱火で照りがでるまでよく練ります。
つまり、「揚げた茄子に練り味噌をかけたもの」がしぎ焼きです。
んん・・いい辛い。

■「しぎ焼き」の由来

「しぎ焼き」は「鴫焼き」と書きます。
獣肉を食べられなかったお坊さんが鴫を焼いたものに似せて、味噌で味つけしたという説があるのだそう。でました!またもや精進料理です。
由来メモでもたびたび登場してくるケースです。

ただこの説については、天文四年(1535年)の「武家調味故実」に、「しぎつぼのこと、つけなすびの中をくりぬいて、しぎの身をつくっていれる。
柿の葉をふたにして、わらのすべでしばる。石鍋に酒を入れて煎る。
折びつに耳かわらけにいためた塩をおいて供する」とあるように、茄子の果肉をくりぬいて入れ物にし、本物の鴫の肉を入れて焼き、塩をつけて食べるというように、実際に肉を使った同様の料理があったことが証明されているので確定は難しいようですね。
現在のように肉を用いないことが、精進料理が普及したためなのか、それとも時代と共に野鳥を食べる習慣がなくなったためなのかは定かではないのでどちらも有力な説でしかないようです。

また他説としては、へた付きのナスの形が、くちばしの長い「しぎ(鴫)」に似ていたことから「しぎ焼き」という名前がついたとも言われているのだそう。
こちらは、ナスの形状説となりますね。
でも実際に「鴫」をみてみたのですが、どこにでもいそうな鳥でしかなくその見た目から名前がついたとは考えにくい気がしました。

さて、しぎ焼きは理解できましたが加工を考えると採算があわなそうです。
お店に卸せば自分は一本10円しか利益が得られず、自分で作っても販売ルートがありません。
もしかしたら、肉が高価だったためそれに似せて茄子のしぎ焼きが生まれたのかもしれませんね。
茄子以上に安価な食材はないということなのかもしれません。
私のような素人に商売が成り立つならとっくに誰かが手広くやっているはずですね。

世の中そんなに甘くは無いです。


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著者: tossie
居住地域:北関東 年齢:70年代生まれ 趣味:釣り、散策 言葉の由来を調べています。言語学者とか研究家ではありません。 ただの一般人です。記事は仕事の合間に書いてます。 プロフィール詳細 Twitterでフォロー

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