「うじゃうじゃ」 の由来

田舎でも昔のような、様々な種類の魚が溢れているという小川は少なくなっている。
そんな中で、私はタナゴ釣りというものに興味を持った。

タナゴの大きさというのは5センチにも満たない程度。
それを長さ1メートルほどの竿で釣り上げる。
ウキも針も糸も強く触るともろく崩れていくようなつくり。
なんとなくその手軽さから初心者でも大丈夫だろうという軽い気持ちだから挑戦できたのだろう。
エサも合わせて2000円ほどのセットを購入して下調べも万端。
いざ日曜日の朝、車に乗り込み現場に直行した。

大きな池の近くにの小川。水の色も濁りが少なく悪くない。
そ~っと覗いてみると驚いた。メダカだ。群れで泳いでいる。
耳を澄ますとバシャ、バシャと魚の跳ねる音。
かなりの大物。浮かんできたそれらを見ると鯉やフナだ。

お目当てのタナゴを図鑑で確認しながら目を凝らす。
見つけた!死骸がぷかぷか浮かんでいる。いるのは間違いない。
早速糸を垂れる。ウキ下の深さが大切らしい。
深すぎると大物がかかってしまう。タナゴは15センチ程度がベスト。
浮かんでいる魚を見るとクチボソらしき煮干しのような細身の魚もいるようだ。
これがかかると外れ。集中してウキに目を凝らす。

ところが・・・10分 20分 30分・・・全く引きもない。
こんなに魚がいるというのに。
近くに止まった車からおじいちゃんと孫らしき二人が起きてきた。
子どもの手には網とバケツ。その姿が絵本で見かける戦後の子供のようでなんだか懐かしい。

声がこだまする。

「おじいちゃん メダカが取れた。」
「クチボソも入ってる~。」

なんだか微笑ましい。

「あれ、これなんだ・・・」
「あぁ フナと タナゴだな。」とはおじいちゃん。

(な な な なに~) ←私の心の中。
こんなに「うじゃうじゃ」いるのに・・・ 網持ってくればよかった・・・

■「うじゃうじゃ」の由来

どうやらこの日の用水路は気候の変化で水中の酸素濃度が下がり魚が水面に浮いてきていたらしい。まさにうじゃうじゃ。

うじゃうじゃとは、同種のものや似たようなものがたくさん集まってうごめいているさまをいう。
ぐずぐずやくどくどと同様にいつまでも、しまりなく長引くさまも言うようだがそういった使用法は現代ではあまり使われていないように思える。
同義語にうじょうじょがある。

うじゃうじゃはそもそも「うざうざ」から来ているらしい。
更にその「うざ」は、群集を意味した「うずすまる」からきているのだそうだ。
同様に「うずすまる」から派生したのが「蛆(うじ)虫」、「うず」がなまって「うじ」になったらしい。
うじ虫とは「たくさん集まる虫」からきたと考えると分かり易いことだろう。

またうじ虫のように、「うじゃうじゃしている」状況から逆に「うざうざ」に戻ることで現代の流行語「うざい」へと変化したともいわれている。
もちろん意味は「鬱陶しい」であるが、うじゃうじゃしたうじ虫は鬱陶しくてうざいと覚えれば、早口言葉のようにもなる。
以上の流れを、煩さのさ行活用と呼ぶことにしよう。

釣りにはよくサシという幼虫を用る。まさにそれはうじ虫。
うじゃうじゃのなかにうじを投げ込んだら少しは釣れたのだろうか?
と素人釣り師は練餌を使ったことを少しだけ悔やんでいる。




著者: tossie
居住地域:北関東 年齢:70年代生まれ 趣味:釣り、散策 言葉の由来を調べています。言語学者とか研究家ではありません。 ただの一般人です。記事は仕事の合間に書いてます。 プロフィール詳細 Twitterでフォロー

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